金本阪神が注入した「野村克也の教え」 (2/2ページ)

週刊実話

FAで獲得した糸井嘉男も右膝を痛めており、得点圏に走者を進めても「あと1本」が出ない打線は、得点力が不安視されていた。
 その不安視された打線が絶好調なのは“嬉しい誤算”だったわけだが、チーム全体が「打てる」となれば、梅野に求めるものも変わってくる。より配球面が要求されるようになったのだ。
 「'99年から3季、野村氏は阪神監督を務めました。当時、野村氏が阪神に持ち込んだチャート表は、金本監督が指揮を執る今日までずっと継承されているんです」(前出・関係者)

 矢野コーチも現役時代、試合中の配球を記録し、相手打者の苦手コースを分析するチャート表で鍛えられた。その矢野コーチが今、“野村式チャート表”を梅野に伝授しているのだ。
 「野村氏は『接点がないのに配球を聞きにきた』と言っていますが、阪神バッテリーから見れば、同氏はチームのチャート表を作ったカリスマですよ」(同)

 このように『ノムラの教え』が注入されたわけだが、その舞台裏では金本批判もくすぶっていた。
 「金本監督と鳥谷の関係は険悪になっていく一方です。キャンプではそれまで練習させなかったのに、オープン戦途中でいきなり三塁にコンバート。端から見れば、嫌がらせです。金本監督があえて嫌われ役を買って出て、鳥谷の心理をうまく逆利用したのならまだしも、決してそうではない」(阪神OBの1人)

 両者の不和を口にするOBは少なくない。
 今さらだが、鳥谷敬は将来を嘱望された幹部候補生だ。現役時代の金本監督も弟分のようにかわいがっていた。両者の間に遺恨はない。しかし、指揮官と幹部候補生になると、しっくりとはいかないようだ。
 「昨季の大不振は、金本監督が原因です。少なくとも、周囲はそう解釈しています。特に若手に対して顕著で、金本監督は『強くバットを振れ』と指導し、ウエートトレーニングを奨励してきました。でも、鳥谷の打撃はパワーではなく、シャープに振るかどうか。軟らかさが信条です。金本監督の打撃論と合わず、鳥谷の長所を殺してしまった、と」(前出・ベテラン記者)

 12日のDeNA戦、鳥谷は試合を決定づける今季第1号を放った。長距離タイプではないが、33試合目での初アーチは遅過ぎる。「出塁と走者進塁に徹した結果」と後輩たちは見ているが、金本監督の言葉には“毒”があった。
 「外野手の頭を越えたのは初めてだろ?」

 阪神には、前半の独走態勢をひっくり返され、優勝を巨人にさらわれた'08年のトラウマも残っている。近年は終盤戦に失速する傾向もある。今季も首位陥落となれば、金本批判は一気に爆発するだろう。

「金本阪神が注入した「野村克也の教え」」のページです。デイリーニュースオンラインは、スポーツなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧