歌舞伎町・区役所通りで高級クラブ37年のママが回顧(2)上京1年で歌手デビュー! (2/2ページ)
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愛田愛
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南部美人
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週刊アサヒ芸能 2017年 6/8号
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笹川伸雄
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歌手
うれしかった」
北は留萌から南は博多まで、全国を公演で回った。しかし前座の駆け出しが歌手だけでやっていけるわけではない。
ハコヤ(キャバレーなどを専門に歌手を派遣するプロダクション)から仕事をもらい、キャバレーの前座で歌って生計を立てる日々が続く。
「立川の寮を出てからは三鷹の3畳1間のアパート暮らしで、次に越したところも西武線・井荻の4畳半。家賃を払うのも大変だった」
歌手生活4年で3枚のレコードを出す。全て故郷が舞台の歌だった。
3作目はハコヤのプロダクションから制作の費用300万円を求められた。
「『テレビのスポットに金がかかる。その他の宣伝にも金がかかる』。そう言われて、応援してくれる親に泣きついた」
しかしレコードは売れない。そんな時、話し声が耳に入った。
「数百万なんてはした金、瞬きする間に消える」
彼女の目から初めて涙がこぼれた。
「“私は何とも親不孝”と、歌手をやめる決心がついた」
笹川伸雄(ジャーナリスト)