芸能人の権利を守る組織「日本エンターテイナーライツ協会」発足

まいじつ

Praisaeng / PIXTA(ピクスタ)
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芸能事務所と所属する芸能人とのあいだにトラブルが起きたとき、事務所側は顧問弁護士など代理人を立てて対応をするが、芸能人の側にはそういった代理人はいない。不倫騒動やハラスメント、独立や解約など、芸能人個人の側の権利を守る体制がないのだ。

そういったケースを想定し、芸能人個人の権利を守る団体が設立される。

その芸能人の権利を守るための団体『日本エンターテイナーライツ協会』は、6月9日に設立記者会見を行う。設立したのはフジテレビの情報番組『バイキング』に出演している佐藤大和弁護士(東京弁護士会)など6人の弁護士だ。パートナーには元『SKE48』のメンバーで女優・ダンサーの桑原みずきの名前もある。既に公式サイトが開設されており、次のような設立趣旨が記載されている。

《現在、日本には、多くの芸能人(エンターテイナー)がいます。そのなかで、芸能人の権利が問題になることも多く、海外と比べても、日本の芸能人の立場は弱いと言われることがあります。また、様々なメディアだけでなく、インターネットを通じて顔の見えない個人からも、芸能人の私生活が脅かされるようになっています。芸能人も、社会や法律に対する正しい知識を備えていかなければならない時代です。日本エンターテイナーライツ協会は、芸能人の活動や私生活を守るために、社会や法律(権利)に関する芸能人の知識向上を支援して参ります。また、芸能人の地位向上に役立つ情報や提言を社会に広く発信するとともに、芸能事務所と芸能人の「架け橋」となって、芸能界を健全に発展させることを目指します。》

芸能人を支援する方法として、芸能人個人に対して社会や権利や法の知識向上の支援、芸能界引退後のセカンドキャリアの支援などを行っていくという。

「芸能事務所との契約の中身には“奴隷契約”のようなものもあります。清水富美加やのんなどの件が、憶測を交えながら報道されたのは記憶に新しいところで、最近では地下アイドルの存在もあり、芸能界へ入る垣根は低くなっています。これが奴隷契約の温床になっているのです」(芸能関係者)

アメリカにはすでに俳優組合があり、俳優の労働環境が徹底して守られている。

組合員の俳優は1日の労働時間が定められている

1933年にアメリカで設立された映画俳優組合『SAG(現:SAG-AFTRA)』は、約16万人の組合員を抱えている最も有名な俳優組合だ。アメリカの映画業界は移民によって成り立っていた歴史があり、そういった移民が自らの地位と権利を確立するために生まれたのがSAGだった。

「SAGの組合員だと、飛行機を使うときに8時間以上だとファーストクラス、3時間ならビジネスクラス。また1日の労働時間や、金曜は何時以降は仕事をしてはいけないなど、事細かい規定があります。これは日本とは違い、アメリカでは『パブリシスト』という取材の対応やイメージ管理をする広報担当と個人契約をしていることが挙げられます。もちろん、芸能事務所に当たるエージェントと契約をするのですが、完全コミッション制(出来高制)です。エージェントは、クライアントのギャラの15%程度を取ることで利益を得ており、俳優は決まった給料をもらえません」(ハリウッド事情に詳しいジャーナリスト)

エージェントは仕事を取ってくるだけで、芸能人の管理などは行わず、芸能人は別にマネジャーを自費で雇い、レッスンやヘアメイクなども全て自分で雇っている。日本の芸能事務所はマネジャーを用意し、レッスンなども費用も負担しているところが大半だ。

芸能界のシステムがこれだけ違うのだから、日本でハリウッドのようなことはできないだろう。

いずれにせよ、奴隷契約のようなシステムは改めないといけない部分である。特に日本の芸能界は、若い年齢で働き始め、その世界しか知らず、法知識のない人が多いのだから…。

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