アイルランド代表戦の問題点は「意識」? 日本代表、24日リベンジなるか。
<リポビタンDチャレンジカップ> 日本代表 22-50 アイルランド代表(2017年6月17日/静岡・エコパスタジアム)
キックで防御の裏をかく。両軍入り乱れた「アンストラクチャー」の状態からち密な連係攻撃を繰り出す。
ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチが唱えるそんな「プラン」は、その根を支えるプレーで崩された。球を奪い合う接点で反則を犯し、1対1のタックルを外された。
前半24分だった。相手のキックをFB野口竜司が蹴り返し、敵陣10メートル線付近で日本代表の防御網ができる。FL徳永祥尭とPR稲垣啓太のダブルタックルが、迫る走者を押し返す。
しかしその右の空間を、対するWTBキース・アールズが破る。LO谷田部洸太郎が手を伸ばすも、届かなかった。直前に、相手のおとり役と交錯していた。
自陣22メートルエリアまで攻め込まれると、PR伊藤平一郎がタックルした流れでボールに手をかける。前のめりになったところで、笛を聞く。一時退場処分を受ける。
「相手とすれば…(大きなチャンス)という場面で、僕が妨げたということだと思います」
アイルランド代表は敵陣ゴール前左で得意なラインアウトを得て、ジャンパー陣の陰からFLダン・リーヴィーが飛び出す。SO田村優のタックルを力強く弾き、インゴールを割った。17-3。
続く28分、WTB松島幸太朗が敵陣中盤右で上空のボールを好捕も、その周りの接点でLOヘル ウヴェが圧力を食らう。球を離せず、ペナライズされた。
直後のラインアウトから、アイルランド代表は用意した動きで直進。3つのやや柔らかなタックルをいなし、24-3と点差を広げた。
攻守で魅したFL徳永は、チームの防御についてこう発す。
「ディフェンスのアライメント(並び)はサンウルブズ(日本代表と連携するスーパーラグビーチーム)と同じ。タックルは個人で修正しないと、このレベルではどうしようもない」
PR稲垣は、何より要所での反則を問題視していた。
「(理由は)個人の意識です。やらなきゃいけないこと以外のことをしている。日頃から言っていかないと、今日のような結果になる」
FB野口は自陣に蹴り戻されたボールを背走して処理。目の前の追っ手を冷静にかわしてピンチを脱す。攻めては後半19分にトライを決めた。WTB松島、WTB福岡堅樹とともにスタンドを沸かせた。とはいえ特定の選手の働きとチームの状況は、分けて考えられるべきものだ。
チームではCTBティモシー・ラファエレが試合直前の故障でこの日の先発を回避。大敗後はFLリーチ マイケルら主軸が病院へ直行した。一方、かねて一時離脱していたCTB立川理道主将がスコッド復帰。万全であるかどうかは別として、続く24日のリベンジマッチ(東京・味の素スタジアム)への出場を目指すか。
ジョセフ ヘッドコーチは、気落ちした様子で言う。
「プランを遂行して自分たちの展開に持ち込めると信じて臨んだが、そうならなかった。選手に貪欲さがなかったら大問題だと感じている」
24日のパフォーマンスを激変させられるか。
(文:向 風見也)