子どもの耳の周りに謎の小さな穴が…「耳瘻孔」の原因と治療法とは?

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お子さんの耳をふと見た時に、小さな穴があいていて気になっていた…というママさんはいませんか?

もしかすると、その症状は「 耳瘻孔」かもしれません。

福耳と同じくらいの確率で見られるものらしいですが、あまり知られていないようです。

今回は「耳瘻孔」について、ご専門である耳鼻咽喉科の岡田先生に原因から治療法までを解説をしていただきました。 耳瘻孔の原因
「先天性耳瘻孔」とも言われている先天奇形の一つです。

胎児の頃、本来は閉鎖すべき溝が完全に閉じずにそのまま残ってしまったものが耳瘻孔と考えられています。

妊娠中に母親が薬を飲んだり、生活習慣に問題があったからできるというような事とは関係はないとされています。 耳瘻孔の症状

耳の周囲に穴がある
耳の周囲(場所はさまざまだが、耳の上前部に多い)に、針で突いたような小さい穴があいています。

膿や腫れ
穴の中には皮脂や汗が出る腺があり、分泌物が表面に出てこられないと中に溜まり、そこに細菌が繁殖して黄白色の膿が出てくることがあります。

膿による臭いを気にされる方もおられます。

また、感染が強くなると顔面まで腫れが広がることがあります。 耳瘻孔の遺伝について
家族に同じ症状がある人が見つかる場合があり、遺伝する傾向があると言われていますが、血液型や色覚異常のように決まった遺伝形式があるわけではなく、親が耳瘻孔の場合に子どもに遺伝する確率を正確に計算することはできません。

また、家族に耳瘻孔の人がいなくても、子どもに耳瘻孔ができる場合もあります。

耳瘻孔以外にも耳の奇形や難聴、腎臓や尿路の奇形を伴う鰓耳腎症候群は、常染色体優性遺伝の遺伝形式が判明しており、親のどちらかがこの症候群であれば50%の確率で遺伝します

(参照: 難病情報センター耳瘻孔の治療法
受診科目
耳鼻科もしくは形成外科です。

治療を必要としない場合
感染を起こして赤く腫れることがなければ、そもそも気付かれていないこともあり、感染を起こした場合でも、自然に膿が出て炎症が治ることもあります。

手術をする場合
状態によっては感染を起こす前に予防的に手術をすることもあります。

手術は感染を起こしていれば0歳でも行うことがあります。

■ 手術内容
自然に膿が出てこない場合、メスで切って膿を出して一旦炎症を沈め、後日手術をして管を取り出します。

管の一部が残ると再発するとされており、顕微鏡で見ながら全て取り出します。

■ 麻酔
手術中安静にしていられる大人なら局所麻酔で行うこともあり、子どもの場合や、病巣が深いと考えられる場合は入院して全身麻酔で行います。 耳瘻孔の感染を予防をするには?
感染を防ぐためには、汚い手でいじりすぎないようにし、周囲を清潔に保つようにします。
最後に岡田先生から一言
耳瘻孔は福耳と並んで頻度の高い耳の先天奇形で、日本人では1〜5%程度に見られると言われています。

目立つものではなく、感染を起こさない限り気にする必要はありません。

子どもに耳瘻孔があると分かった場合も、お母さんが自分を責めることがないようにしてください。

(参照: 慶應義塾大学病院)
【監修:耳鼻咽喉科 岡田先生】
プロフィール)
1982年生まれ、2000年群馬県内の県立高校を卒業後、同年4月に私立大学医学部医学科に入学。2006年3月に同大学卒業後、研修医として市中病院を2年間勤務。その後、大学病院に勤務し、2010年4月、大学院に入学、頭頸部癌、感染症を主に基礎研究を行い、医学博士を取得。

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