商店街から野菜栽培まで…新しい経済潮流を生み出す「高架下」
鉄道会社が所有する路線高架下が、おしゃれな商店街へと生まれ変わりつつある。
駅に隣接するビルや、改札内の商業施設はかなり開発が進んでいるが、高架下は駅に直結しているという利便性がありながら「薄暗い」、「線路下ということで敷地が細長い」、「頭上を線路が走るため騒音がうるさい」といった理由からテナント誘致が進まず、駐車場や倉庫としての利用にとどまってきた。
しかし、東西の鉄道会社は耐震補強や立体交差化をきっかけに、高架下を商業や公共施設として活用しようとする動きを活発化させているのだ。
JR東日本は、2010年から駐車場や倉庫しかなかった秋葉原―御徒町間の高架下をショップでつなぐ計画をスタートさせ、現在は『2k540』、『CHABARA』という商業施設を誕生させている。テレビでも紹介された旧万世橋駅の赤レンガ街にあるプラットホームを活用したカフェからは、中央線を走る列車を間近に見ることができ、鉄道ファンに人気だ。
2014年3月には中央線の阿佐ヶ谷-高円寺間の高架下に『阿佐ヶ谷アニメストリート』が開設され、アニメショップを出店するとともに、アニメを作る人と見る人のつながりの場を提供することを目指している。
商業施設だけではなく託児所や福祉施設も
「直近では、昨年11月に東急東横線と東京メトロ日比谷線の中目黒駅の高架下が、おしゃれな商店街として生まれ変わっています。名称もそのまま『中目黒高架下』です。京王電鉄は昨年8月に、井の頭線の高架橋化工事一部完了に伴い利用可能となった下北沢駅の高架下に、飲食店やイベントパークを3年間限定でオープンさせています。京浜急行電鉄も京急蒲田駅付近では、2015年12月に『ウィングキッチン京急蒲田』が開業していますが、変わったところでは、小田急電鉄東北沢―和泉多摩川間の複々線化事業で新たに生まれた高架下を利用して、託児所や福祉施設、図書館といった公共施設を地元自治体と組んで整備しています」(経済ライター)
関西でも、JR西日本や南海電鉄が高架下の商店街を続々オープンさせているが、阪神電鉄は2014年、尼崎センタープール前駅に野菜工場を建設した。高架下での野菜栽培には東京メトロも進出している。
開発の余地が少なくなってきた都市部にあって、高架下には大きなビジネスチャンスがあるのかもしれない。
【画像】
うげい / PIXTA(ピクスタ)
けんさん / PIXTA(ピクスタ)
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