「相続対策はお早めに」が煽りではなく、本当に早くした方がいい理由とは

心に残る家族葬

「相続対策はお早めに」が煽りではなく、本当に早くした方がいい理由とは

先月、筆者の知人から何故相続対策は早目にやる必要があるのか。早目にやらねばならない理由が分からないという話しを聞いた。知人は更に話しを続けたが、曰く、いつ対策しても大丈夫なのではないか。亡くなってからでも問題無いのではないか、何時やっても他人の勝手なのだから、他人からとやかく言われる筋合いは無いとのことだった。確かに、相続税法並びに民法では相続税並びに贈与税について、早目に対策をしろとは一言一句記載されてはいない。では、何故早目に対策を打つ必要があるのだろうか。それは早目に対策を打った方が、結果的に有利になる場合が多いからなのだ。

■「早くやっておいたほうが有利になることが多い」というのが本当の理由

有利になる場合というのは、相続税において特例措置の規定の適用を受ける場合だ。例を挙げてみると、小規模宅地等の特例(措置法69条4項)がある。一定の要件を満たせば、相続税の課税価格を最大で80%減額される制度だ。

条文には、相続が開始される直前において、居住の用または事業の用に供される宅地等とある。つまり、被相続人が亡くなる直前まで居住する建物の敷地であるか、被相続人が亡くなる直前まで運営していた貸アパート・貸マンションの建物の敷地である場合にのみ、前述の特例措置の適用を受けることができるとなっている。被相続人が亡くなってから、住み始めた建物の敷地では特例措置の適用を受けることができない。貸アパート・貸マンションも同様に、被相続人が亡くなってから運営を始めた場合には適用を受けることができない。筆者の経験だと、被相続人が亡くなってから、貸アパートの建設を始め、前述の規定の適用を受けようとした家族が居たが、当然の如く認められるはずは無かった。

■相続税の特例措置を適用させるのは、相続開始からでは遅いことが殆ど

殆どの場合だと、特例措置の適用を受けることが可能な状況が多かったので、大きな問題になることは少なかった。しかし、他に大きな問題が隠れている可能性が高く、実際にはこちらの方が文字通りの問題だったのだ。例えば、被相続人にかつて愛人が居て、愛人が被相続人の子供を産んでいたことが被相続人の死亡した後に発覚した。ただ、被相続人が認知していなかったため、相続の問題は発生しなかったが、認知していたら相続をやり直すか、裁判を以て対応しなくてはならなくなったはずだ。当然、相続税の申告期限内(10ヶ月)に解決できる保障はどこにもない。

■有利になることが分かっておきながら放置すると、当然相続開始時に揉め事に発展する

更に、土地の境界線についての問題もある。土地の境界線は「筆界」と「所有権界」が有るが、双方とも公図と差異が発生している例は頻繁に有る。境界線に関する問題において、裁判無しで解決を図る「筆界特定制度」があるが、解決には期間が半年から一年もかかってしまう。裁判ならば、最低2年はかかるのだ。「筆界特定制度」だと、費用は高くても数万円で済むが、裁判ならば費用も高額になってしまうだろう。

結局、何が言いたいのかと言うと、被相続人が亡くなる前に問題を解決しておけば、揉め事を回避できるだけでなく、時間的な余裕もできるし、安心かつ安全に対応できるからであり、相続を争続にせず円満解決を目指すためには、早目の対策をしておくことが一番良い方法であると考えるからだ。

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