大矢さんと稔侍さんと室田さん:杉作J太狼XS「美しさ勉強講座」連載52 (2/3ページ)

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そんな野郎たちを俺も大嫌いだったので松本さゆきさんとは気が合いそうだと思うと同時に、俺たちにすこしでもそんなところがあったらたいへんなことになってしまうので倉田真琴、住倉博之、ギンティ小林たちスタッフにビシッと確認とったことを昨日のようにではないね、大昔のこととして覚えている。ほかのことはかなり忘れているので重大なことだったのである。

 ま、そもそも昔から俺は映画でも主役より脇役が好きであった。室田日出男と小林稔侍がとくに好きであった。名前もないような役をするときの小林稔侍がとくに好きだった。脇役だからいいやつでもなければみんなから好かれるような役でもない。どうでもいい人間を演じる稔侍さんが大好きだった。俺もそうなりたいと思った。中学生の頃の話だ。物語の最初から最後まで出ずっぱりだったりしない。大きく映りもしない。画面の端ではりきっている稔侍さんのようになりたかった。男として俺が目指した星座。それが脇役の室田日出男、小林稔侍、その気持ちとポジションであった。

 その後。何十年かして俺はめでたくマスコミ、芸能の世界の脇役になった。書いてる雑誌でも脇役、出演する番組でも脇役、映画でも脇役。それもかなり脇のほう。そしてある日、自分とはなんの関係もない、出演してもいなければスタッフとして関わってもいない映画の製作発表、その司会進行の仕事が来た。出演者の中に室田さんがいた。生まれて初めて、目の前に室田日出男がいた。四国松山の映画館。東映グランド。実録やくざ映画に震えつつもこころ躍らせていた中学生の俺。その俺が目指した男の星座がそのとき、目の前にいた。

(この項、つづく)

<隔週金曜連載>

撮影場所◎よるのひるね

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