世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第229回 PB黒字化目標という毒針 (2/3ページ)
(1)国債金利が急騰する
(2)政府の負債が自国通貨建て「ではない」こと
'12年にギリシャが財政破綻したとき、ギリシャ政府の10年物国債金利(いわゆる「長期金利」)は、一時的に40%を超えた。もちろん、年利である。
年利40%の金利など、支払えるのか? と、思われたかも知れないが、もちろん誰も支払えるなどとは思っていない。それどころか、ギリシャ政府に貸し付けたおカネが返済されない(=財政破綻)と金融市場が考えた結果、誰もギリシャ国債を購入しなくなり、国債価格が暴落した=国債金利が急騰したのである。
'98年のロシアの財政破綻の際には、長期金利が80%、短期金利は何と170%に達した。もはや、自分でも何を言っているのか分からなくなってきているが、事実である以上、仕方がない。
また、ギリシャ政府が財政破綻、つまりは返済できなかった借金は「ユーロ建て」だった。ユーロとは共通通貨であり、ギリシャの自国通貨ではない。ユーロを発行できるのは欧州中央銀行(ECB)のみだ。ギリシャ政府は、勝手に自国の中央銀行(ギリシャ中央銀行)に命じ、ユーロを発行し、ギリシャ国債を買い取らせることはできない。
アルゼンチンやロシアの政府が返済できなかったのはドル建て負債であり、ペソ建てでもルーブル建てでもなかった。
わが国の場合、政府の負債の100%が自国通貨建て、日本円建てだ。日本銀行に日本円を発行させ、国債を買い取らせることが可能な日本政府が「日本円建て負債」の返済不能に陥ることはあり得ない。
また、日本の国債金利は、急騰するどころかむしろ下がってきている。バブル期に6%を超えていた日本の長期金利は、バブル崩壊と橋本緊縮財政による経済のデフレ化を経て急落。人類の歴史上、初めて1%を下回り、'16年には0%まで割り込んでしまった。
下図の通り、日本政府が「国の借金」とやらを増やせば増やすほど、国債金利は下がっていった。理由は、バブル崩壊と橋本緊縮財政で経済がデフレ化し、民間がおカネを借りなくなってしまったためだ。
経済がデフレ化し、民間がカネを借りなくなったとはいえ、銀行は「誰か」におカネを貸し付け、金利を稼がなければならない。