水がない場所でも溺死する?子どもの「乾性溺水」の危険性と予防対策
アメリカで実際に起こった出来事で、プール帰宅後の子どもがベッドで寝ている最中に、
溺死をしたというショッキングなニュースがあり当時話題になりました。
水がない場所でも溺れるということは想像しにくいことですが、体ではどのような現象が起きているのでしょうか?
海やプールにお子さん達と出掛けることも増える夏の季節、危険な「乾性溺水」について医師にお話を伺いました。
乾性溺水とは

水を飲み込みかけてむせ、気管に水が触れたことで反射的に気道のけいれんが起こり、空気の通り道が閉じてしまうことで窒息して起こります。
通常の溺死(wet drowing)
水が肺に満たされ、血液中に酸素を取り込むことができずに起こります。 乾性溺水の原因

乾性溺水の発生の仕組みから考えれば、以下のシーンでも起こり得ることだと言えます。
・プール
・海
・川
・お風呂
・洗面中
・食事で水を飲む
しかし一般的には乾性溺水は水没した時に水を肺内に大量に吸い込む前に起こる現象であり、溺死体を調べた場合に10〜15%は肺に水があまり入っていないために乾性溺水だったと判断されています。
本当に「特にプールでおぼれる様子もなく普通に遊んで自力で元気に帰ってきたのに、昼寝中に死んでしまった」、もしくは「食事中に水を飲んでむせた後に死んでしまい、溺死と判断された」という現象についての頻度は不明であり、非常に稀なことと考えられます。 子どもの乾性溺水に注意が必要な理由

子どもは自分が水を吸い込んだのかどうか申告することができず、息苦しさなども訴えることができません。
また、気道に異物が入った時に反射的に出そうとする働きが大人より強いため、理論上は乾性溺水になりやすいと考えられます。 乾性溺水の症状は何時間後に現れる?

アメリカの事例
2008年にアメリカで10歳の少年がプールから帰宅後の昼寝中に、ベッドの上で口から泡を吹いて死亡していたというニュースがありました。
プール後、1時間程度で死亡していたということです。
通常は水を吸い込んだその場で起こることが多いと考えられますが、プールで肺内に吸い込んだ水が移動し、気道の敏感な部分に触れた時点で気道のけいれんが起こるというような場合を考えれば、水に接した後数時間後に起こる可能性もあるとは言えます。 乾性溺水かどうか見極める方法

水に接した時に、以下のようないつもと違う様子があれば疑ってもよいかもしれません。
乾性溺水を疑うサイン
・むせ込み
・咳
・顔色が悪い
・意識がもうろうとしている
・眠気を訴える
など 乾性溺水の対処法と予防法

プールや水遊び時には 大人が目を離さず、意識を失って水に浮かんでいるような場合は、 すぐに蘇生を行える体制を整えておきます。
水を吸い込んだ可能性がある場合は 救急科を受診するか、目を離さずに 呼吸状態を観察するようにします。 その他にもある水に関わる危険な症状

イマージョン シンドローム(immersion syndrome)
冷水に浸ったことで、自律神経の一つである副交感神経が過剰に働いて心停止を起こす状態のことです。
「いきなり冷たい水に入ると心臓が止まる」と言われ、プールに入る前に足だけ水に付けたり、胸に少量の水をかけたりということをしたことがあるかもしれませんが、イマージョン シンドロームを防ぐためのものです。
二次溺水
乾性溺水と同じく稀な例ですが、二次溺水と呼ばれる現象があります。
溺水後に一旦肺から水が出て行って呼吸困難などの症状がなくなったものの、数日後に再度肺に水が溜まり肺水腫や肺炎を起こすことがあるとされています。 最後に医師から一言

「ベッドの上で溺死することがありうる」というのは衝撃的な情報ですが、実際には非常に稀であると考えられます。
しかし学校や幼稚園、保育園のプールでも毎年死亡を含む事故が起きていますので、十分な監視体制の下で行う必要があります。
(監修:Doctors Me 医師)