橋下徹vs.有田芳生の”国籍提示”と”ハシシタ”を巡っての抗争|やまもといちろうコラム
山本一郎(やまもといちろう)です。ネットには良い炎上と悪い炎上があって、良い炎上というのは論争を通じて物事の理解が深まったり、あまり語られなかったことが表面化して行動が糺される他山の石となるようなものを言います。
今回の橋下徹さん(48)と有田芳生さん(65)の論争はまさに良い炎上に位置付けられるべきもので、もちろん話の発端はしょっぱいところですが、そこから議論でのダブルスタンダードや人権活動の内容についての是非まで発展し、興味深いエッセンスが入ってきました。ある意味で、これは意義深いのではないでしょうか。
参議院議員有田芳生が僕の出自を面白がっている証拠。それが今、蓮舫さんの戸籍開示が差別に繋がるだって。有田、早く辞職しろ。自称人権派は有田を責めないのか? https://t.co/hxtQXBHFJV
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) 2017年7月19日
話としては、いま話題となっている民進党代表の蓮舫女史(49)の二重国籍問題で、これを出す出さないの議論であって、民進党比例で参議院議員となっている有田さんからしますと「村田蓮舫さんの国籍を出させることは人権的によろしくない」という、そこまで見れば妥当な発言をネットでしたことがスタートです。
一般論でも個別論でも、誰かのプライバシーに当たる国籍の開示を求めるのは妥当ではないし、一部で言われているような二重国籍状態で国会議員に立候補すること自体は違法とはいえないのはすでに多くの論客が指摘している部分です。ただ、論点はそういう政治家が、例えば野党第一党の代表・党首をしているのが望ましいのかとか、国籍について二転三転する説明は誠実だったのかどうかといった、ある種の「政治家としての資質の問題」にいろんな懸念が投げかけられたわけであります。私も先週この連載でちらっと書きましたが、本来であればそこまで大きい問題ではなかったのに、政治家になるキャリアの前からグラビアや芸能活動で国際性を売りにしていた蓮舫女史のネタがクローズアップされるのは本人も想定していなかったんだろうなあと思います。
民進党・蓮舫代表”二重国籍”で戸籍出す出さない攻防を見る側の心情|やまもといちろうコラム
有田さんはその辺も踏まえて「人権的にどうなのよ」って話をしたわけなんですけど、そこへ橋下徹さんが「俺は出自について散々報じられたけど、自称人権派は誰もその報道を批判しなかった」って切り返して来たらそりゃ説得力はあります。実際、人権派は当時目の敵にしていた橋下さんへの醜聞報道で人権よりも立場を守っていたわけでね。
戸籍の開示は差別助長に繋がる!だって?自称人権派は恥ずかしげもなくよく言うよな。俺は出自について散々報じられたけど、自称人権派は誰もその報道を批判しなかった。あの報道に比べれば蓮舫さんの戸籍開示なんてどうってことないこと。
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) 2017年7月19日
■ダブルスタンダートが横行する訳
この辺の話は、やはり人権派と言えど立場があるし、ダブルスタンダードになり得ることを示しているとも言えます。「人権」は政敵を論難するための単なる闘争の道具であり建前であって、実際には身内は庇っているだけじゃないかと批判されても致し方のないことなわけです。
さらに、このツッコミを橋下さんから喰らった有田さんが、あろうことか「歳のときから『おまえ』汚い言葉だね〜より、部落差別解消のために闘ってきた」と橋下さんにエアリプ。もちろん、実際にそういう闘争を続けてきた自負もあるのでしょう。しかしながら、この橋下さん自身が出自が部落解放同盟であったと週刊朝日に書かれ、部落解放同盟自体もこの記事への強い批判と糾弾をしてもいるわけで、部落差別解消のために戦ってきた有田さんが、部落出身者と名指しされた橋下さんと対立しているわけです。
17歳のときから「おまえ」(汚い言葉だね〜)より、部落差別解消のために闘ってきたよ。国会に来てからも。解放同盟にも共産党にも聞いてみろ。と、書くと同じ低水準ですね。終わりにします。すみません。 https://t.co/D6sv0m9CE4
— 有田芳生 (@aritayoshifu) 2017年7月21日
もちろん、有田さんの考えや立場も分かるぶんだけ、この手のダブルスタンダード批判は対応が苦しくならざるを得ないんだろうなと思うわけですけれども、これまた以前書いた通り、政治というのは攻撃側と守備側でダブルスタンダードが横行するのは仕方のない世界でもあります。
なにぶん、加計学園問題ひとつとっても、それまでは文部科学省の天下り問題で前川喜平前事務次官(62)に野党側からの批判が集中していたのに、一転菅義偉官房長官(68)の答弁ミスなどがあらわになると前川さんが成人君主のような扱いでヒーローになってしまうことになります。
官邸高級官僚野党マスコミ「全員悪人」アウトレイジ状態な「けものフレンズ」問題
まあ、政治が混乱しているときってだいたいこんな感じなんですかね。
いま求められているのは透明な政治と言いますが、それはすなわちダブルスタンダードの少ない、公明正大な政治の在り方なんじゃないかと思うわけですけど。
著者プロフィール

ブロガー/個人投資家
やまもといちろう
慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数
公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)
やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研