ダイエットに効果的って本当? 玄米のうれしい効果とおいしい食べ方

白米よりも栄養が豊富で、健康的なイメージがある玄米。ダイエットにも効果的だと思っている女性も多いかもしれませんが、それは本当なのでしょうか。玄米に含まれる栄養素や身体に与える効果について、管理栄養士の園部裕美さんに解説していただきました。
■玄米って何?
そもそも玄米とはどんな食品なのでしょうか。そのほかのお米との違いについて、園部さんに教えていただきました。
◇玄米とは
園部:玄米とは、稲の「もみがら(外皮)」を除去しただけの、精米されていないお米のことです。玄米を精米して「ぬか」と「胚芽」を取り除き、「胚乳」だけにしたお米が白米なので、玄米には、ぬか、胚芽、胚乳がすべて残っています。
◇玄米の栄養素
園部:お米の栄養素は胚芽に含まれていますが、白米は精米することによって胚芽が取り除かれてしまうため、玄米のほうが栄養価が高いと言われています。玄米と白米をお茶碗1杯分(150g)で比較すると、以下のような違いがあります。
☆玄米と白米の違い
※文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
ビタミンB群(表ではビタミンB1~葉酸まで)とミネラル(カリウム~亜鉛まで)、食物繊維に関しては、白米と比べて玄米のほうが特に多くなっています。また、玄米には抗酸化作用があるとされる「フィチン酸」も多く含まれています。
■玄米の効果
玄米には、白米と比べて豊富な栄養素が含まれていることがわかりましたが、玄米を食べることで私たちの身体にどのような効果があるのでしょうか。園部さんに聞いてみました。
◇「食物繊維」の効果
園部:玄米には、白米よりも食物繊維が豊富に含まれています。お茶碗1杯(150g)食べると、1食で摂りたい食物繊維の1/3を摂ることができます。どうしても野菜が不足してしまうときは、主食を玄米にするだけでも食物繊維の量を補うことができるでしょう。また、食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。
☆水溶性食物繊維
食品の消化吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ効果や、余分な脂肪を吸着して排出するなどの作用があります。急激な血糖値の上昇は、糖を脂肪に変換して蓄える作用のある「インスリン」を多く分泌させるため、ダイエットには逆効果です。玄米を食べて水溶性食物繊維を摂取することで、ダイエット効果が期待できると言えるでしょう。また、水溶性食物繊維には、善玉菌を増やして腸内環境を整える効果もあります。
☆不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は水に溶けず、腸を刺激してぜん動運動を促したり、便のかさ増し効果などがあります。便の量が少ない人にも効果的です。
◇「ビタミンB群」の効果
園部:ビタミンB群にはさまざまな働きがありますが、特に玄米に多く含まれているビタミンの働きは以下の通りです。
☆ビタミンB1
糖質をエネルギーに変える、アルコールを代謝する、神経の働きを正常に保つなど
☆ナイアシン
脂質や糖質をエネルギーに変える、皮膚や粘膜の炎症を防ぐ、神経症状を防ぐなど
☆ビタミンB6
たんぱく質の分解を助ける、造血や脳の働きを助けるなど
☆葉酸
神経を正常な働きにする、ヘモグロビン・赤血球の合成など
◇「ミネラル」の効果
園部:白米に比べると、玄米のカリウムは3.25倍、カルシウムは2倍、マグネシウムは6.7倍、鉄は4.5倍も多く含まれています。カリウムは体内の水分量を調整する作用、カルシウムは骨を丈夫にする作用、マグネシウムにはたんぱく質の合成や神経伝達、筋収縮などを助ける作用があります。
■玄米の食べ方
玄米をおいしく安全に食べるためには、いくつか気をつけたいポイントがあります。玄米のおいしい炊き方と玄米を食べるときの注意点について、園部さんに解説していただきました。
◇玄米のおいしい炊き方
園部:玄米は炊飯器で炊くよりも、土鍋や圧力鍋で炊いたほうが、ふっくらもっちり炊き上がります。
☆材料(2合炊く場合)
・玄米……2合 ・自然塩またはにがり……小さじ1/2 ・水……土鍋500ml、圧力鍋400ml
☆炊き方
(1)白米のように研がずに、さっと水を変えながら1~2回程度洗う。このときに浮いてくるごみや玄米は取り除く (2)6~7時間以上浸水させる (3)浸水させた玄米の水をしっかりと切り、土鍋または圧力鍋に入れ、分量の水と塩を入れてひと混ぜする (4)【圧力鍋】の場合は、強火にかけて(圧力調整がある場合は高圧)、圧力がかかったら弱火にして20分炊く。火を止めて10分ほど余熱で蒸らし、圧力を抜いてからフタを開けて混ぜれば完成
【土鍋】の場合は、中火にかけて沸騰したら弱火にし、25~30分炊く(沸騰の確認でフタを開けてもよい)。フタを開けて、鍋肌の水分がなくなっていることを確認してからフタを閉め、一度20秒ほど強火にかけて、火を止めて10分蒸らす。最後に混ぜ合わせたら完成 ※炊飯器で炊く場合は、塩を加えて炊飯器のコースや水加減で調整する
◇玄米を食べるときの注意点
園部:玄米は、①しっかり浸水させて柔らかく炊くこと、②よく噛んで食べることが重要です。玄米は不溶性食物繊維が多いため、普段たくさん食べていない人が急にたくさん摂取すると、便秘を助長してしまう場合があります。また、消化能力が低下しているとき(疲れているとき、妊娠中など)は、さらに胃腸に負担をかけてしまうこともあります。今まで白米を食べていた人は、3食のうち1食だけ玄米にしたり、玄米と白米を混ぜて食べることから始めるとよいでしょう。
また、玄米に含まれる「フィチン酸」が、ほかのミネラル(特に鉄)の吸収を阻害するという話もありますが、これに関してはまだ明確になっていません。フィチン酸は、豆類やほかの穀類などにも含まれているため、玄米だけが鉄の吸収を阻害するということは考えにくいでしょう。
■まとめ
玄米には、白米よりも多くのビタミンやミネラル、食物繊維が含まれていて、私たちの身体にうれしい効果がたくさんあることがわかりました。玄米を炊くときは、炊飯器の「玄米モード」を使用して炊くこともできますが、土鍋や圧力鍋を使用して炊いたほうが、ふっくらとおいしく炊き上がるでしょう。今まで白米を食べていた人は、まずは1食だけ玄米に置き換えるなどして、少しずつ食生活に玄米を取り入れてみてくださいね。
(監修:園部裕美)
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