かつて「かな文字」は女性用だった?「かな文字」成り立ちの歴史と秘密に迫る

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かつて「かな文字」は女性用だった?「かな文字」成り立ちの歴史と秘密に迫る

日本特有の文字「かな文字」

私達日本人は現在、日本語を表記するために「漢字」「平仮名」「片仮名」の、3種類の文字を主に使用しています。あまりにも日常的に使用しているために、その歴史や成り立ちについて意識することは、あまりないでしょう。もしかしたら「日本語で使用する文字については、学生時代に授業で習ったきり」、なんて人もいるかも知れませんね。

「かな文字」は、元々は漢字を元にして、日本語を表記するために発明された文字です。漢字は文字そのものが意味を持つ「表意文字」の中の、それぞれ1字が1語を表す「表語文字」ですが、かな文字は文字そのものが意味を持たずに発音のみを表す「表音文字」のうち、1字が1音節を表す「音節文字」です。

仮名文字の誕生とその変化

仮名文字の歴史をさかのぼると、上代(飛鳥〜奈良時代)の「万葉仮名」にたどり着きます。

これは、元々1つ1つの文字が意味を持つ漢字を、その意味に関係なく日本語の1つ1つの音を表したもので、漢字の使用方法としてはかなり斬新なものでした『古事記』、『日本書紀』などの一部にも使用されていますが、日本最古の和歌集と伝わる『万葉集』の表記に主に使用され、それが一種の「頂点」とみなされていたことから「万葉仮名」と呼ばれるようになりました。

その後「万葉仮名」を崩した草書体から「平仮名」が、「万葉仮名」の一部が音を表す訓点や記号に変化して「片仮名」がそれぞれ誕生し、定着していったと言われています。

初期の「かな文字」は現代より種類が多かった!?

さて、万葉仮名を崩して草書体にした初期の平仮名は、1つの音に対して1つの文字のみが使われていたというわけではありませんでした。

後に小学校令で仮名の字体が現在の50音に定められるまでは、「い」なら漢字の「以」を元にした現在の「い」の他に、「伊」や「異」なども使用されていたのです。その数は、全部でなんと200種類くらいあったともいわれています。驚きですね!

仮名の数が多かった頃の名残は、現代日本語ではほぼ使われることのなくなった「ゐ」「ゑ」などの平仮名として見ることができます。

「かな文字」は女性用!?

平仮名は、「女手」「女文字」とも呼ばれていました。これは、平仮名が「和歌を詠むとき」などのプライベートな場面以外では、主に女性が使用する文字とされていたためです。

これに対して、1つの音に1つの漢字をそのまま当てはめた「万葉仮名」は、男性が漢詩や公式文書などに使用する文字ということで「男仮名」と呼ばれていました。

現代の感覚からすると驚きの事実ですが、「女文字」と呼ばれた平仮名が使用されるようになったことで、『枕草子』『源氏物語』『更級日記』など、平安時代の女流作家による作品が次々と世に出ていくこととなりました。

日本文学の上でも、「かな文字の誕生」は大きな影響を与えたできごとだったといえるでしょう。

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