【高校野球】小諸商、悲願ならず。渡辺静の夭逝で再確認する「No Baseball, No Life.」の尊さ (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■渡辺は卒業後、朝日軍へ

 小諸商を卒業した渡辺は、野球用語が日本語に改められ、東京六大学野球が解散を命じられた1943(昭和18)年、今のDeNAにつらなる朝日軍に入団している。

 当時、男子は20歳になると徴兵検査を義務づけられていたが、高等教育へ進学すると免除されていた。その頃のプロ野球チームは「昼は野球、夜は専門学校で高等教育を受け、卒業までは兵役免除」という条件を最大の説得材料にし、全国から有望選手を集めたという。

 いろいろな思いが複雑に交錯するなか、渡辺も家族会議で何度も話し合った末に朝日軍への入団を決めたことが、その伝記『白球にかけた青春 ─陸軍特攻隊員 渡辺静─』に綴られている。

■公式戦出場はわずか2試合。学徒出陣22歳で命を落とす…

 しかし、渡辺のプロ野球選手としての活動期間は1年にも満たなかった。公式戦2試合に出場し、代打での2打席で三振と三ゴロという記録を残して、戦況悪化に伴う学徒出陣で渡辺も秋に入隊した。

 以降、日本各地の飛行場を転々としながらパイロットとしての養成訓練を受けると、1945(昭和20)年6月6日、鹿児島・知覧基地から特攻出撃。辞世の句「いざ征かん 雨も風をも 乗越えて 吾れ沖縄の球と砕けん」を残し、22歳で戦死した。

■あらためて見つめたい「No Baseball, No Life.」のありがたさ

 ここ数年、夏の甲子園を目指す地方大会が始まる7月、そして甲子園で熱戦が繰り広げられる8月を、筆者は渡辺の無念と平和の尊さ、小諸商の悲願を胸に抱きながら「No Baseball, No Life.」という想いで送っている。

柴川友次
NHK大河ドラマ「真田丸」で盛り上がった信州上田に在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドにみえる、楽天推しの野球ブロガー。開幕前から楽天有利、ホークス不利の前半戦日程を指摘、イーグルス躍進の可能性を見抜いた。
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