少子化加速で競争激化 大手学習塾・予備校業界の生き残り策 (2/2ページ)

週刊実話

塾は一時「ゆとり教育」による学力低下の反動で急拡大したが、人口減少に歯止めがかからず、最近は市場が急激に萎んでいる。
 そのため予備校や塾のサバイバル競争はすさまじい。そんな中、生き残りをかけトップを走っているのが、高宮学園が運営する代ゼミこと代々木ゼミナールやナガセだ。

 経営アナリストが言う。
 「全国に27校舎を持ち、全国展開していた代ゼミが、一挙に20校の閉鎖を決めたのは'14年、国が'20年の教育改革方向を示した翌年です。まさにナガセが早稲田塾買収時と合致する。これを考慮すると、今後50年、100年と教育畑で生き延びようとする高宮やナガセは、すでに'14年頃から浪人生で食べる経営モデルが終わりを告げると読み、新たな収益モデルを模索し始めていたということ。そのキーワードは『小中学生と現役高校生』『ネット事業』『多角化』の三つでしょう」

 確かにナガセは、早くから東進ハイスクールの衛星授業でネットを先取りし、四谷大塚で小中学生も確保。早稲田塾買収では痛みを覚悟で「現役高校生合格」のノウハウを取り込んだ。
 一方、代ゼミも「現役高校生、小中学生」に完全シフトし、東大合格を目指す優等生を中学から確保、東大や難関医学部などの合格で屋台骨の入れ替えを進めた。

 浪人生ビジネスモデルから新キーワードを見据えてシフトするのは、ナガセや高宮学園だけではない。教育ビジネスを大きく変える可能性があるとして全世界的に5年ほど前から注目されているのが「エドテック(EdTech)」。「Education(教育)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語だ。
 「米国では、サンフランシスコにミネルバ大学というエドテック大学が出現し、ハーバードに入れる素質を持つ生徒が入学してきている。エドテックの特徴は、質の高い講師の講義を学校や自宅のスマートフォンやタブレットで視聴できるし、さらに動画や3Dなどをふんだんに取り入れ、分かりやすい」(同)

 日本でもこのエドテックを模索する動きがある。さらに多角化において、個別学習塾『明光義塾』を展開する明光ネットワークジャパンは、塾以外に学童保育、サッカースクールなどを展開している。
 「市進ホールディングスは、塾以外に高齢者向けのデイサービス運営を。代ゼミは閉鎖校跡地をホテルやカフェ運営の事業者に貸し付けなども行っている」(同)

 最後に生き残るのは、果たしてどこなのか。

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