海の中にある恐怖。オーストラリアの少年を襲った人食いヨコエビ(小型甲殻類大量注意)
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8月5日、土曜の遅く、サム・カニゼイくん(16歳)はブライトンビーチの波打ち際に足を浸した。これはいつものことだ。トライアスロンを愛する家族に生まれたオーストラリア・メルボルン育ちの彼にとって、海はとても身近なものだった。
その日は1時間半ほどサッカーで遊んだので、海に入れた足がヒリヒリと痛んだのはそのせいだろうと思っていた。サムくんはそこで腰くらいまで海に入って、冷たい水で足を冷やしながらiPhoneで音楽を聴いていた。
だが、海から上がってみると異変が!
なんと海に入れた足がひどく出血していたのである。
その原因は・・・
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Australian teen's feet bloodied by mystery sea creatures・足からドクドクと大量出血
サムくんは慌てて家の外から叫び、父親のジャロットさんを呼んだ。
ジャロッドさんは仰天した。サムくんの足には針で刺したかのような跡が無数にあり、そこから大出血していたのだ。血が止まる気配はなく、いそいで病院へ連れて行くことにした。
サムくんは冷たい海水のせいで足の感覚が鈍くなって、何かに噛まれたことに気がつかなかったようだ。しかし病院へ向かう途中、足の痛みはどんどん酷くなっていった。
医師は一目見て入院を決めた。しかし原因は特定できなかった。止血を施し、足を検査したがピラニアに襲われたかのような傷が何によるものか判然としない。
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・小型甲殻類「ヨコエビ」の恐怖
ジャロッドさんはブライトンビーチに住んで20年になるが、彼にとっても初めて見る傷だった。近所の人や地元の医療者も知らないようだった。そこで用心のためにウェットスーツを着込んで、怪我をした現場を調べてみることにした。
網と生肉にひかれてジェロッドさんの仕掛けた罠にやってきたのは、体長2ミリほどのシロアリのような小さな生き物である。しかも大量に存在していた。
メルボルン、ミュジーアム・ビクトリアの海洋生物学者によると、ジャロッドさんが採取した生物の正体は「フトヒゲソコエビ」の仲間であるらしい。
腐敗する肉が放つ化学物質に引き寄せられる腐食性甲殻類である。別名”ウミノミ”とも呼ばれ、魚の死体に群がってはそれを貪る習性がある。
追記(2017/08/14):ヨコエビ目フトヒゲソコエビ類は伝統的にフトヒゲソコエビ科とされていた多系統の一群で、現在は細かなグループに分けられており、クラゲノミ亜目のウミノミとは分けられているそうです。当初タイトル表記したウミノミをヨコエビとして追記修正し再送します。
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image credit:Wikimedia Commons: Hans Hillewaert CC-BY-SA-4.0
フトヒゲソコエビは抗凝血物質を持っている為に、噛まれると出血が止まらなくなることがあるようだ。サムくんの場合はたまたまヨコエビの食事中の群れに足を突っ込んでしまった可能性があるという。またおそらくは足に傷があり、フトヒゲソコエビが好む化学物質が漂っていた可能性もある。
通常はこれがピラニアのように待ち伏せして襲ってくることはなく、不必要に怯える必要はないとのことだ。傷もしばらくすれば治るそうだ。
大量ヨコエビの映像(閲覧注意)
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Sam Kanizay's mystery injuries after swim at Dendy Street
via:boingboing / livescience / sciencealertなど/ translated by hiroching / edited by parumo
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