【女子W杯 現地リポ】 前に出られなかったイタリア戦。W杯の過酷さ実感。 (2/2ページ)
「スタートの時点から一歩ずつ、半歩ずつ、リアクションが遅かった。アジリティ、フェイズディフェンスも良くなかった。4試合目にして、戦うエネルギーが残っていなかった。プレッシャーはもちろんあるが、一番はフィジカル面でのタフさ。しっかりリカバリーできたと思っていたが、体がきつかったということ」(有水剛志ヘッドコーチ)
もともと、体力的に劣る日本にとって、格上とばかり中3日で対戦しなければいけないワールドカップのスケジュールは過酷すぎるものだったことは間違いない。
勝たなければいけないというプレッシャー以上に、フィジカルで勝る格上相手に自分たちのラグビーを80分間続ける余力が残っていなかったということだろう。
「アタックでは継続がチームで決めたフォーカスポイントだった。どういうふうに実行するのか、頭ではわかっていたが、ワールドカップの場では実行に移せなかった。レッグドライブと言われて、できる選手はできるけど、全体としては統一しきれなかった。これが1試合目で、やるべきことがわかっていたらできていたと思いますが、何試合も体張って、前で止め続けたダメージもあって、しんどいし、前に出られなかったということ。できる能力は持っている。でも規律の部分でできなかった」
プール戦時に比べて前に出るエネルギーを出し切れなかった要因をそう語るのは、BKにケガ人が出たこともあって、この日はCTBとして先発したベテランの鈴木彩香。
前半の時点ですでにエネルギー切れしていたようなサクラフィフティーンの実情を見透かすように、後半に入ると積極的にボールを動かし、外側のスピードランナーたちを走らせ始めたイタリアのアタックについていけずに3トライを重ねられ、ワールドカップの過酷さを実感する敗戦となった。
(文:出村謙知)