世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第235回 仏マクロン大統領のグローバリズム (2/3ページ)

週刊実話

結果的に、デフレは延々と続き、国民はひたすら貧困化していく羽目になる(現代の日本が、まさにそうだ)。

 ところで、マクロン政権がフランスの「労働規制の緩和」に乗り出そうとしていることもまた、フランスの労働者階級のひんしゅくを買っている。緊縮財政+労働規制緩和という政策パッケージこそが、マクロン大統領の支持率急落の主因なのだ。
 フランスの失業率は相変わらず10%前後で高止まりしている。その理由について、巷のエコノミストたちは例により「労働規制」が強固であることを上げている。'16年時点の雇用者に占めるパートタイム労働者の割合(パートタイム比率)は、ドイツが26.7%、イギリスが25.2%に対し、フランスは18.2%。法定最低賃金は、ドイツが8.84ユーロ、イギリスが8.6ユーロ程度であるのに対し、フランスは9.76ユーロ。
 確かに、フランスの労働規制は英独両国よりも強固である。フランスの労働者は、英独に比べて守られている。もちろん、高失業率は問題だ。とはいえ、フランスのインフレ率は'17年7月のデータで対前年比+0.8%と、1%を割り込んでいる。さらに、国債金利(長期金利)は0.738%と、日独両国同様に1%未満なのだ。

 すなわち、政府が国債を発行し、需要を創出すれば、高失業率の解消は可能なのである。ところが、やらない。いや、できない。
 フランスがEUやユーロに加盟している限り、「低インフレ率、低国債金利」という資源(リソース)を、雇用改善のために国民経済に投じることは不可能だ。EUは財政赤字の拡大を禁じており、ユーロは中央銀行による国債買い取りを不可能とする。

 政府が金融・財政政策による需要創出に「国際協定」により踏み出せない以上、高失業率の改善のためには、
 「労働規制を緩和し、労働者の処遇を落とし、国際的な価格競争力を回復する」道以外には存在しない、という話になってしまうわけだ。

 逆に言えば、フランスで“企業の利益”を拡大する労働規制緩和を推進するためには、高失業率と緊縮財政が“必須”なのである。EUが緊縮財政を強要するからこそ、フランスでは大手企業やグローバル投資家が望む労働規制緩和が正当性を帯びる。

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