世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第235回 仏マクロン大統領のグローバリズム (3/3ページ)
フランスが労働規制の緩和を実施すると、企業は人件費をカットしやすくなる。すると、特にグローバルに事業を展開している大手企業の純利益は膨らむだろう。企業の純利益が増えれば、そこから配当金の支払いを受けるグローバル株主が利を得る。さらに企業が純利益で自社株買いを増やすと、株価が上昇することで、やはりグローバル株主がもうかる。
労働規制の緩和は、多数派を占めるその国の労働者階級の反発を買う。さらに政府が財政拡大による雇用改善策に乗り出せば、失業率は下がる。すると、労働規制緩和の説得力が喪失してしまう。
フランスの労働規制緩和という構造改革を推進するためには、緊縮財政が不可欠なのだ。
フランスの事例からも、グローバリズムは規制緩和、自由貿易、そして緊縮財政が「トリニティ(三位一体)」となっていることが理解できる。もっとも、グローバリズムのトリニティを推進すると、国民の支持を失い、支持率が下がる。だからこそ、グローバリズムを推進する政治家の多くが「保守政治家」を装い、
「国家、国民のために尽くします! わが国を外国から守ります!」
と、ナショナリズム“もどき”を叫び、国民の支持をつなぎ留めつつ、グローバリズムにより国民の生活や豊かさを破壊しようとするわけだ。
現在の日本とフランスの政治状況は、気味が悪いほどに似ている。
みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。