「恋ダンス」動画削除通知の本当の狙い
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歌手で俳優の星野源が所属するレコード会社『ビクターエンタテインメント』が、2016年に放送されたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)のエンディングで人気を集めた『恋ダンス』の動画をYouTubeなどの動画サイトにアップしている場合、削除するよう要望する内容の文章を公開した。
《先般ご案内致しています通り、“恋ダンス”動画につきまして、2017年8月末日をもちまして、弊社より著作権法に基づく動画削除の手続きを行わさせて頂きます。ドラマの放送期間終了後に改めてお知らせさせていただきました規定通り、弊社からの削除手続きが始まる前に、可能な限りお客様ご自身で“恋ダンス”動画の公開中止・削除の作業を行っていただきますよう、お願いいたします。》
「ドラマ放映時に恋ダンスを真似する人が続出し、動画投稿がYouTube上でも流行しました。これらは厳密に言えば違法動画で、レコード会社は営利目的での利用はNGとしましたが、あまりのブームになったため、純粋に楽しむファンにはドラマエンディングと同様の90秒程度の動画なら削除はしない、と一定期間認めてきた経緯があります。これが事前に告知した約束の8月末で終了したということです」(芸能記者)
動画を削除することで利益が出なくなる
この削除要請の発表を受けて、インターネット上ではさまざまな意見が飛び交っている。
《何でも著作権というけれど、ファンが楽しんでいるし宣伝にもなっているんだからいいのでは?》と残念がる投稿がある一方、《ルール通りなんだから仕方ない。むしろ今まで認めてくれただけでも感謝している》、《普通は勝手に削除されるが、きちんと事前に断りを入れているだけでも親切》など、賛否両論が入り交じっている。
著作権に詳しい音楽関係者が、今回の削除要請の実情をこう話す。
「コンテンツ業界では昔から、違法アップロードなどに頭を悩ませてきました。かつては無許可のコンテンツに対しては投稿サイトに削除を要請するか、泣き寝入りするしかありませんでした。しかし、その状況もYouTubeが導入した“コンテンツID”によって変わりました。このシステムは著作物侵害の作品に広告を付けて、その広告収入を権利者が総取りするシステムです。最近ではピコ太郎動画などにも導入されています」
つまり、勝手に投稿された違法動画はオリジナル動画のデータと照合され、一致した場合は、その広告収入を動画を投稿した人物ではなく、権利者がもらえるという仕組みだ。逃げ恥の動画もYouTubeへ多く投稿されているが、その広告収入はレコード会社が得ていることになる。いわば、利益を考えるなら削除するよりもそのまま公開されている方がいいという場合もある。
「利益の出ているコンテンツであるにもかかわらず、わざわざ削除依頼したことで、続編が放送されるのではないかとも噂されています。このあたりで一度リセットし、次のブームを仕掛ける準備ということでしょう」(前出・記者)
今回のレコード会社の措置はむしろ寛大だったと言えるだろう。
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(C)STUDIO GRAND OUES / Shutterstock