本好きリビドー(171) (2/2ページ)
人間の心の弱い部分を丸裸にし、ビジネスなどの取引に活用する技術を研究している方で、本書はいわばその技術を“悪用”している方々の研究書である。
研究対象となった人々は、詐欺師にヤクザ、違法売買業者。最初は小さなことを要求し、相手がのんだら次第に大きい取引を持ちかけて弱みにつけ込む。些細なことで詫びを入れさせ、その後は一気に畳み掛ける…、なんてのは、まだ序の口。意外と効果的なのが「皆さん」をキラーフレーズに使うこと。詐欺商法などで「多くの人がこの商品を買っている」などと言われると、「それなら私も…」と気持ちが傾く。横並び意識が強い日本人には、よく効くひと言というワケだ。
また、人は権威に弱い。医者・弁護士・公務員や高学歴を騙ったりするとダマしやすいのも事実だという。
こうしたことはテレビ等が詐欺師の手法としてさんざん注意喚起しているにも関わらず、人は簡単に罠にハマる。悪用厳禁のマル秘交渉術だが、実践に駆使できるのも確か。
さて、あなたはこれを読んで、どう使う?
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)