経済制裁渦中の北朝鮮「覚せい剤を国内消費」か

まいじつ

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国連の対北朝鮮経済制裁決議で、これまで制裁項目にはなかった、《繊維製品の輸出禁止》が含まれた。石油禁輸とは比べ物にならないとはいえ、北朝鮮の外貨獲得においては大きな痛手だ。昨年の北朝鮮の輸出実績における繊維製品は、石炭や他の鉱物に次いで2番目に大きく、計7億5200万ドル(約845億円)を稼ぎ出しているからだ。

しかし、そこは強気の北朝鮮。テレビインタビューを受けた一般市民とおぼしき人物が、「輸出禁止の制裁をされたら国内消費すればいいだけさ」と述べた。そんな密輸禁止で国内消費された先例のなかには、覚せい剤もある。

北朝鮮には経済制裁が利かない。何しろ21世紀では考えられない、例えば手動式の発電機などがあり、石油を止められても何とか切り抜ける知恵を身に付けているからだ。

「統制経済が完全に瓦解したことで、庶民の手で物流もそれなりに整い、闇市(チャンマダン)には中国製品を中心としたさまざまな商品が豊富に並んでいます。隣接した中国の都市で調達した商品は、早ければ2日後には北朝鮮の地方市場に届くというくらいですが、物品を運ぶ運転手の多くが、オルム(覚せい剤)を使っているのです。そうすれば、二晩程度は眠気を催さずに目的地まで着くことができるからです」(北朝鮮ウオッチャー)

海外からのラジオ放送を聞いている北朝鮮国民も

朝鮮中央通信は2011年2月に、中国の公安国境警備隊が、国境地域で計153件の麻薬密輸事件を調査・処理し、2883人を逮捕、各種の麻薬約4トンを押収したと報じた。これは氷山の一角だ。

「反米を叫んでいる一般人は“ショールーム”に住む首都の平壌市民だけで、当局がいくら危機を煽っても効果はありません。北朝鮮の人々も昔と違い海外からの情報を得られるようになっているからです。日米韓は北朝鮮向けのラジオ放送を行っており、リスナーも少なからず存在し、馬鹿げた金正恩の挑発行為にうんざりしているのです」(同・ウオッチャー)

平安南道(ピョンアンナムド)の某市在住者は、市内に住む人の5~7割が韓国のラジオを聞いており、核実験とミサイル実験のせいで経済制裁を加えられていることや、大使館員らが韓国に亡命したこと、金正恩が兄の正男を殺したことを知っているという。

「軍事境界線を挟んで韓国に隣接した黄海道(ファンヘド)や江原道(カンウォンド)一帯はむろんのこと、平壌より北の地域や東北部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)の海岸部では、韓国の公営放送KBSテレビが受信できます。そのため、アメリカ軍にさっさと空爆してもらい、解放してほしいと願っている住民がいるのも理解できます」(同・ウオッチャー)

覚せい剤がひと足先に住民を解放気分にさせているとは何とも皮肉だ。

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