そこにラブはない。『カカフカカ』順序が逆キスの魅力<KISSマンガ> (2/2ページ)
「ヘンなことはしない」っていう約束だから、ただ、くっついて寝るだけなんです。
とはいえ、横向きに寝そべると後ろから本行が身体をくっつけてきます。首筋に息がかかり、おなかにやさしく手を添えてくるんです。思わずモンモンと考える寺田さんですが……。読んでるこっちも身もだえなんですけど?
主人公の思考を通して表現されるキスがいいそんな2人が、もう読者をじらしにじらして、ようやくキスまでたどり着くのが今回のシーン。そのまえに、いろいろやることやってるので順序が逆です。だけどそんなの、どうでもいい!
キス自体 は細かく描かれないんだけど、寺田さんがずっとあれこれ考えている様子が細部まで表現されているんです。読んでいると想像力が刺激されて、めっちゃゾクゾクします。
最近の少女マンガでは、キスの唾液を描くとか生々しい表現をする作家さんもいるんですが、正直、そういうのはちょっと受けつけないんですよ。生々しすぎて気持ちが高まらない! 『カカフカカ』もそうですが、描かれないからこそ想像力が膨らんでドキドキするのに……。
本行の心情も描かれないリアルさが魅力「描かれない」といえば、この『カカフカカ』、本行の気持ちも描かれません。たいていの少女マンガは、男性キャラの心情が手に取るようにわかるので、私たちは安心してページを進めることができますよね。でも、肝心の本行はなにを考えているのかわからないんです。あんなこともこんなこともしているのに。だけど、きっかけがそもそも添い寝だし、本行は感情が顔に出ないから(ついでにト書きも書いてくれないし)もうぜんぜんわからない。そこが妙にリアルで惹きつけられる作品です。
(文:和久井香菜子、イラスト:菜々子)