涙と唾液から発電する方法が発見される(アイルランド研究)
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涙や唾液など、人の体からにじむ分泌液から発電する方法が発見された。
それもこれもリゾチームという酵素のおかげだ。これは圧力をかけると電気を発生する性質がある。もしそれを効率的に回収することができれば、インプラント式デバイス向けの動力源として活用できるかもしれない。
・リゾチーム結晶に圧力をかけるとエネルギーが生じる
リゾチームは涙、唾液、牛乳、粘液、卵白などに含まれている酵素で、バクテリアの細胞壁を溶かすのを助ける。
しかしアイルランド、リムリック大学の研究者が発見したのは、リゾチームは結晶化した状態で電荷を生み出せるということだ。
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着色したリゾチームの結晶 image credit:Lysozyme - Wikipedia
2枚のガラス板で圧縮したリボチーム結晶の膜に圧力をかけると、圧電気というエネルギーが生じる。すなわち電荷が機械的なストレスへの反応として蓄積されるのだという。
「圧電気は身の回りで使われていますが、特定のタンパク質から発電できる能力についてはこれまで探られてきませんでした」とエイミー・ステープルトン(Aimee Stapleton)氏は説明する。
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実験中のエイミー・ステープルトン image credit:University of Limerick
・期待される医療への応用
「これは生体物質であり、無害です。医療用インプラントを覆う電気活性式の抗菌コーティングなど、さまざまな画期的応用があるでしょう」
研究チームによれば、リボチーム結晶の効率性は、圧電気の発電能力で昔から知られてきた水晶振動子に匹敵するという。
しかし水晶振動子は当然ながら非生体物質である。ゆえに発電能力において匹敵し、なおかつ人体内でも利用可能なリボチーム結晶は、全く新しいインプラント式デバイスの可能性を開くことになる。
皮膚の下でリゾチームを検出するセンサーを用いて体内に薬剤を放出するようなインプラントなども考えられるだろう。
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これまで生体内の圧電気は組織、細胞、ポリペプチドといった複雑な階層構造を用いて理解が試みられてきた。タンパク質のようなシンプルな物質でこのような可能性が確認されたのは史上初のことだ。
かつてペニシリンの発見者アレクサンダー・フレミングは抗生物質を求める研究でリゾチームを調査していた。これは1965年に3次元構造がマップ化された最初期のタンパク質でもある。
どんな理由であれあなたが流す涙、それはとても尊いものなのだ。なんたって発電エネルギーになるのだから。
via:aip / phys など/ translated by hiroching / edited by parumo
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