子どもをダメにする?過保護な親「ヘリコプターペアレント」の特徴

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モンスターペアレントは聞いたことがある人は多いと思いますが、ヘリコプターペアレントという言葉があるのをご存知でしょうか?



子どもに対して過保護になり過ぎ、自立を妨げる親のことを指し、近年日本でも増加傾向にあることが問題になっています。



今回はモンスターペアレントの原因、特徴、子どもへの悪影響などを医師にお話をお伺いしました。






ヘリコプターペアレントとは 

ヘリコプター



ヘリコプターが一箇所でホバリングをして飛び続けるように、子どもの上空で常に親が監視しており、子どもに都合が悪いことが起こりそうになると介入してくるような、過保護・過干渉な親のことを言います。



「モンスターペアレント」は、理不尽な要求をしてくる親というイメージですが、ヘリコプターペアレントは必ずしも言っていることが理不尽というわけではなくても、子どもへの干渉の程度が過剰というイメージかと思います。




ヘリコプターペアレントになってしまう原因 

親の過保護



不安から子ども任せにできない

幼少時には食事、着替え、排泄など身の回りの世話を親が全て行うのは当然ですが、本人の能力に合わせて少しずつ自立を促し、社会に出るまでには自分の世話は自分でできるようにするのが親の役割と一般的には思われてきました。



しかし、


「子ども任せにしていては危なっかしい、失敗して不利益を被るのではないかと思うと安心して見ていられない」


「親が少し手を貸せば、親としても安心であり、子どもを危険から守れる」


という思いがあるためか、いつまでも自立させられない場合があるようです。



子どもに任せ、見守ることは、親が手を出してやってしまうことよりも難しく、子どもの能力を見極める能力と、時間・気持ちに余裕が必要です。



親に「失敗した時に立て直す時間・気持ちの余裕がない」となれば、手を貸してしまったほうが楽だということになります。



親としての存在価値の担保

「この子は自分では何もできない」と思うことで、親としての存在価値を保ちたい、自立してしまうと親を捨てて飛び立って行ってしまうという気持ちもあるのかもしれません。



ただ、


「子どものために良かれと思ってやっている」


「子供に嫌な思いをさせないため、傷つけないため」


という大義名分のもと、見守る努力を放棄しているとも言えます。



子どもは親の介入を疎ましく思うことはあっても、自分ひとりでできる自信もなく、つい親に身を任せてしまう可能性も考えられるでしょう。




ヘリコプターペアレントの特徴

ヘリコプターペアレント



例えば、子どもの仕事に関しては以下の行動が見られ、「もういい大人なのに、どうして親が出てくるのか?」と会社の担当者をうろたえさせています。



・就職活動中に親が会社に直接子供の売り込みをしてくる


・「この仕事内容ではうちの子の能力を生かし切れていない」と注文を付けてくる


・欠席の連絡を本人ではなく親がしてくる


・職場との話し合いに親が付いてくる


など




アメリカのヘリコプターペアレント事情

アメリカの家族



アメリカではミレニアル世代と言われる1980年代〜2000年代初頭に産まれた子どもたちが、大学に入ったり、就職をする段階になって、そういった親が目立つようになったと言われています。



また、ヘリコプターペアレントを逆手に取り、大学生に過剰な飲酒をさせないために大学が親に協力を求めたり、学生を獲得したい企業が親に売り込みをかけ、親から子どもに「この会社いいわよ」と促してもらえるようにするためのキャンペーンに、お金をかけるといったことが行われているようです。




ヘリコプターペアレントは日本でも増えている?

入学式の保護者席


大学の入学式では、ここ10年ほどで、保護者用の観覧席を設けることが多くなっています。中には会社の入社式にも親の姿が見られることがあります。



また、就職でも地元志向が増えており、「一人で生活も仕事もするのは怖い」と思う新社会人が増えているのかもしれません。



不景気のために親に経済的余裕がないと、大学入学のタイミングで一人暮らしを経験できず実家から通うことになり、大学生になっても家事や身支度が自立できないということになりがちです。



そうなると、就職も地元で親に手助けしてもらいやすい範囲で選ぶという流れになるのかもしれません。




ヘリコプターペアレントが子どもに与える悪影響 

自信をなくす学生



子どもからすると、自分は親からも信用されていない、一人では危なっかしい人間だという自己評価になり、 幸福感が低くなりがちです。



気分が不安定で落ち込みやすく、不安に陥りやすくなります。自主性が低く、自分ひとりで決断することに迷いが多くなります。




ヘリコプターペアレントにならないためには?

自信を持って歩く社会人


親が何歳で子どもに何を任せるかというのは正解がなく、子ども個人の能力や特性によっても異なります。



自立するために必要な知識を子どものプライドを傷つけない形で教え、


「親がやって見せる」


「子どもやらせてみる」


「失敗させる」


といった過程を、社会に出るまでに一通りやってみるような余裕を親が持ち、子どもに自信をつけさせます。



しかし、本当に困った時はいつでも親を頼れるような関係を作っておくことが理想的です。




最後に医師から一言

子どもを見守る親



大学進学や就職の段階までは親が介入して何とかなっても、結婚して伴侶を作り、自分が親になって次の世代を育てていくという段階になれば、どうしても自立が必要です。



親が勇気をもって手を放し、子どもの自立を喜ぶ気持ちを持つことが重要ではないでしょうか。




参考文献

・Luebbe AMら Assessment 2016. Dimensionality of Helicopter Parenting and Relations to Emotional, Decision-Making, and Academic Functioning in Emerging Adults.


・Earle AMら J Stud Aff Res Pract 2017. The Upside of Helicopter Parenting: Engaging Parents to Reduce First-Year Student Drinking



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