反自民の受け皿を目指した小池・希望の党が目論見外れて急失速|やまもといちろうコラム (2/2ページ)

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 いま希望の党が一番強い、というか小池女史は都知事ですのでそのお膝元である東京の小選挙区25と、比例東京ブロック17の都合42議席のうち少なくとも30近く議席を確保しなければ、政権交代を目指せる陣容にはならないであろうと目されてきました。もちろん単独で過半数など無理であろうとしつつも、自民党公明党で過半数割れに持ち込み、連立政権で自民公明維新希望の4党で翼賛体制を目指すというシナリオもあったであろうとは思います。

 しかし、現実にいまの支持率から東京の選挙区で見ていくと、問題なく当選しそうな選挙区は10区の若狭勝さんだけで、互角の当落線上にいるのは3区松原仁さん(61)、15区柿沢未途さん(46)、21区長島昭久さん(55)の3名程度で、比例東京ブロックでの希望の党の獲得議席が3議席から4議席に留まるという見込みになると一番議席数を期待できるはずの東京でさえ獲れて8議席程度になってしまう計算になります。比較的選挙に強い民進党元議員も擁しているとは言え、あまり良くないシナリオだと希望の党はせいぜい36議席ぐらいしか獲れないのではないかという予測さえも出てきます。

 一方、東京で仮に多めに見積もって5議席を比例ブロックで確保できたとしても、もしも比例重複立候補者が上位にいた場合は比例単独でのリスト入りした候補者はほとんど当選の可能性はなくなります。また、比例ブロックの議席獲得数の二倍までしか供託金は返ってきませんので、仮に比例ブロックで確保された5議席すべてが小選挙区立候補者の復活当選であった場合はかなりの金額の供託金没収になります。

 これはいったいどうするつもりなのだろう、と思うわけですが、とにかく政権交代できるだけの立候補者数を確保するという目的で比例代表のリストを当選の見込みもなく積み上げただけだとすると、大変に愚かなことだと思うのですが、どうなってしまうのでしょう。

 逆に言えば、希望の党が民進党前原誠司さん(55)との協議の果てに合流するまでは上げ潮なので良かったとは言え、その上げ潮である「半自民党の受け皿」というのは枝野幸男さん(53)ら民進党に間違いなくいた中道左派から左側の票がごっそり落ちるだけでなく、枝野さんが新党を立てたりすれば少なくとも希望の党は民進党の支持さえも引き継げないことになります。

 必然的に反自民を標榜する共産党その他野党勢の票も割れ、また現状批判票はいままでは共産党が取っていたことを考えると希望の党は共産党をも削ることになります。

 結局は、この小池百合子女史の挑戦はほんとうの意味で誰も幸せにならない取り組みだったのではないかと思わざるをえないのですが、果たして公示である10日17時までに何かドラマは起きるのでしょうか。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

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