男の子の赤ちゃんの性器にできる水ぶくれ“傍外尿道口嚢胞”とは?
男の子の赤ちゃんの性器に水ぶくれができる「傍外尿道口嚢胞(ぼうがいにょうどうこうのうほう)」という疾患があります。
珍しい症状ではありますが、発見した場合には、どのような対応をすれば良いのでしょうか?
今回は、「傍外尿道口嚢胞」の原因・症状・治療法などを医師に解説していただきました。
傍外尿道口嚢胞とは
男性の陰茎の先、尿が出る出口の片側もしくは両側に、米粒から1㎝程度の水ぶくれができる状態です。
風船のような形で、中身は水分(尿ではない)であり、ペンライトで照らすと光が透けることで、中が水分だと分かります。
生まれつき、男の赤ちゃんの1,000人に6人程度に見られるとされています。
傍外尿道口嚢胞の原因
生まれつきそういった構造がある場合(先天奇形の一種)と、ケガ・感染・炎症を起こしてその名残としてできる場合があります。
傍外尿道口嚢胞の症状
赤ちゃんはみんな包茎なので、包皮がむけるまでは発見されないことが多いですが、位置や大きさによっては、周囲に垢が溜まって炎症を起こし痛みが起こったり、陰茎の勃起(赤ちゃんでも起こります)や排尿に伴って、ひきつれて痛みが起こる場合もあります。
また、思春期になって包皮がむけると、人目について見た目が気になったり、尿の飛ぶ向きがまっすぐでないことが問題になる場合もあります。
傍外尿道口嚢胞に似ている性器に出来る疾患
カンジダ感染や性器ヘルペスによっても水気の多いぶつぶつができることがあります。カンジダは皮膚や粘膜の常在真菌(カビ)であり、性行為の経験がなくても病気を起こす可能性はあります。
また、同じような水ぶくれが、陰茎の裏側から肛門にかけての中心線にできる陰茎縫線嚢胞という状態もあります。原因や治療は傍外尿道口嚢胞と同じです。
傍外尿道口嚢胞の除去方法、治療法
専門科目
泌尿器科が適切です。
治療
無症状であれば治療をせず様子を見ることが多く、自然と消えていくこともあると言われています。炎症や感染を起こしている場合は、塗り薬などで治療します。
手術になる場合は?
見た目の問題が気になる場合、感染・炎症を繰り返す場合、尿がまっすぐ飛ばないなどの問題で治療を行う際には、手術で水の袋を取り除きます。中の水を抜くだけでは再発しやすいと言われています。
手術内容自体は日帰りでも可能ですが、じっとしていられない子どもの場合は全身麻酔が必要になります。大人の場合、陰茎の根元に注射の麻酔を行うことになります。
健康保険が適応になるかどうかは、なぜ手術をするかという目的によって異なると思われます。痛みがある・感染を繰り返しているなどの場合は保険適応になると思われますが、見た目だけを気にして手術をする場合は自費になる可能性があります。
薬
薬だけで嚢胞を消すことはできません。感染や炎症を起こしている場合は、抗生物質の飲み薬・塗り薬、ステロイドの塗り薬などを使用します。
傍外尿道口嚢胞の予防法
生まれつきのものの場合は予防を行うことはできませんが、感染や炎症を起こさないためには、入浴時に嚢胞の周りを流水で洗い、垢を取り除くなどで清潔にすることが望ましいと思われます。
最後に医師から一言
お母さんにとっては男の子の赤ちゃんのおちんちんは未知の存在であり、迷うことも多いと思います。女性は泌尿器科という診療科になじみがない場合もありますが、小児の病気に詳しい泌尿器科に相談してみましょう。
(監修:Doctors Me 医師)
参考文献