実話怪談『幽霊のいる旅館』 (2/2ページ)
「あのおばあさん、さっきのおばあさんだよね」
「そうよ、番頭さんが話していたあの幽霊よ」
二人は怖くてお風呂も入らず、ぶるぶるふるえながら、二人身を寄せあって朝を迎えた。睡眠不足で頭が痛い。
早々にチェックアウトしようとフロントに向かった二人の前に、昨夜の老婆が現れた。
「お二人さん、昨日はごめんなさいね」
老婆の笑顔がまぶしい。どうみても、生きている。
しかも、二人と同じようにチェックアウトの準備をしているのだ。
「幽霊がチェックアウトするわけないし、これってどういう事?」
素っ頓狂な声をあげた二人のもとに、宿のおかみさんが近づいた。
「いやですよ。お客様、こちらのおばあちゃまも同じお客様ですよ」
「ええ!!」
「勿論、幽霊なんかじゃありませんよ」
二人は仰天した。
「だって昨日、番頭のおじさんが幽霊と説明したでしょう」
二人がそう言うとおかみさんの顔色がすっと変わった。
「また出ましたか。あの番頭は幽霊好きでね。よく生前はそうやって若い女性のお客さんをからかってたんですよ」
監修:山口敏太郎事務所