【プロ野球】天国と地獄!? 強打の2番を先取りでリーグ制覇!? ヤクルト・真中満監督をダイジェストで振り返る (2/2ページ)
■監督就任1年目、2015年に見せた好采配
監督就任1年目の開幕戦は、敵地・マツダスタジアムでの広島戦。延長戦の末にミレッジの決勝打で広島を振り切り、初采配を白星で飾っている。その後、5月に大型連敗を喫し、借金を抱えた状態で後半戦を迎えることとなる。
後半戦に入ると、勝率5割付近をさまよいながら耐え忍び、混戦模様のなか優勝争いに踏みとどまる。8月22日からシーズン終了まで連敗はなし。最後は巨人とのデッドヒートを制し、14年ぶりのリーグ優勝を飾った。
その要因の1つが2番・川端慎吾だ。後半戦から2番・川端、3番・山田哲人、4番・畠山和洋と強力打線を形成し、従来の常識でもあった2番打者の犠打を排除。メジャーリーグで当たり前のようになっている2番に強打者を据える采配で、就任1年目から結果を出した。
また、印象的な采配もあった。勝てば優勝が決まる9月29日の広島戦だ。2点ビハインドで迎えた8回表、2死三塁というピンチの場面で2者連続敬遠を選択。攻撃イニングが2回残っているとはいえ、1点を取られたら絶望的な3点差となる。リスクの高い采配だ。ただ、2者連続敬遠とすることで投手に打順が回る。守りやすさだけでなく、相手に代打を使わせることも目論んだ上での作戦だった。
結果として試合には敗れたものの、このピンチは脱し、作戦自体は成功。こういった緻密な作戦を1年目から見せてくれたことに驚きを隠せなかった。
■優勝と最下位を経験
2016年は前年のリーグ優勝から5位と順位を大きく下げ、3年契約の3年目として迎えた今シーズン。チームは開幕から上位争いに絡むこともなく、大きく低迷してしまう。真中監督はシーズン途中で退任を発表。采配以前にケガ人の多さ、選手層の薄さが惨敗の原因ではあるものの、トップとして責任をとった形だ。
そこに至るまで様々なことがあった。7月7日、広島に大逆転負けとなった「七夕の悲劇」後にはクラブハウス前でファンが罵声を浴びせる事態も起きている。賛否両論はあるもののこのような状況のなかで、真中監督は代行監督を立てて退くことはなく、最後まで指揮を執った。最終戦では敗れたものの引き上げるときに大きな歓声を浴び、グラウンドを後にした。
3年間で優勝と最下位を経験。まさに「天国と地獄」だ。この両方の経験をしたヤクルトの監督は広岡達朗氏ただひとり。この経験を、いつの日か訪れるであろう再登板のときに生かしてもらいたい。
これまで、ヤクルトの歴史上監督が再登板することはなかった。しかし、真中監督の後を受けて小川SDが監督に復帰。偶然か必然か、再登板しやすい道が拓かれた。
文=勝田聡(かつた・さとし)