小学生に急増中?体毛に悩む子どもが通う「キッズ脱毛」とは
体毛が濃かったり、長かったり、自分のムダ毛のせいで肌を露出することにコンプレックスを持つお子さんもおられます。
また、親御さんも子どもの体毛について一緒に悩んでいるケースも多く、近年、そんな体毛に悩んだお子さん向けに「キッズ脱毛」を行うサロンもあり、小学生の通院数が急増していることがメディアでも話題になっています。
今回は、「キッズ脱毛」の内容、子どもの体毛が濃くなってしまう原因、子どものムダ毛処理の注意点などを、医師に解説をしていただきました。
キッズ脱毛とは

子ども用のサプリメント「キッズサプリ」や子どもモデル「キッズモデル」などがありますが、子ども向けの脱毛「キッズ脱毛」を行っている脱毛サロンを指します。
キッズという言葉は英語のchildのくだけた言い方で、厳密に何歳から何歳までを指すかという厳密な定義はありません。
しかし、あるエステサロンでは3歳から施術可能とうたっており、6歳以下で施術を受ける子どもも実際にいるとのことです。
脱毛は何歳からOK?

第二次性徴の始まっていない子どもは、大人のような濃いワキ毛や陰毛はありません。思春期に性ホルモンの働きで毛根が活性化するので、例え3歳で脱毛処理を受けても永久的な効果はないと思われます。
エステサロン
光脱毛は医療行為ではないので各サロンが独自に年齢制限を定め、結果については同意した保護者の自己責任ということになります。
クリニック
医療レーザー脱毛については、レーザー照射自体は生まれつきのアザなどの治療のために産まれた直後でも全身麻酔で眠らせた上で使用することがあるので、痛みに耐えてじっとしていることができれば何歳であっても施術可能と思われます。
ただ、黒い色素が少ない産毛には効果が限られます。
各クリニックが独自に年齢制限を設けており、14歳〜16歳以降、月経が始まっていることを条件にしている場合が多いようです。
キッズ脱毛の方法

エステサロン
■ 光脱毛・フラッシュ脱毛
黒い色素に反応する波長の光を当て、毛根の細胞にダメージを与えます。細胞は完全に死滅することはなく、再度毛が生えてくる可能性があります。
クリニック
■ レーザー脱毛
光の波長を揃えてより強力にしており、毛根の細胞を殺すことで半永久的な効果があります。その反面、皮膚細胞への影響も考え、医療行為として扱われています。
光脱毛もレーザー脱毛も、基本的に安全性と有効性はトレードオフであり、安全であるということは効果が少ない・短期間に限られるということになります。
■ 針脱毛
一本一本の毛根に細い針を入れて焼き切る方法で、痛みが強いため男性のひげなど限られた場合のみ行われています。
子どもの体毛が濃くなる(毛深い)原因
生まれつきのもの

■ 生まれたての赤ちゃん
毛深くて肩・額・耳などにうずを巻いていたり、左右の眉毛がつながっていることもありますが、生後1年以内に改善するとされています。
■ あざ(母斑)
茶色や黒いあざ(母斑)があって、そこに毛皮のような毛が生えていることもあります。
■ 先天性全身多毛症
非常に珍しい病気で、全身に長い毛が生えています。
胎児の頃は誰もが全身に濃い毛が生えており、妊娠8〜9カ月に一旦抜けて再度産毛が生えてから生まれてくるのですが、この生え変わりが起こらないことで起こると言われています。
■ その他の生まれつきの病気
ムコ多糖症、ターナー症候群、ヌーナン症候群といった病気で全身の毛が多くなることがあります。
アンドロゲンの異常

毛に働きかけるホルモンであるアンドロゲンが多すぎる場合や、毛の細胞がアンドロゲンに過剰反応する場合があります。
アンドロゲンが多すぎる病気には、アンドロゲンを出す卵巣や副腎が関係しており、以下の病気が考えられ、手足や口周りを中心に全身の毛が濃くなります。
・多嚢胞卵巣症候群(不妊の原因にも)
血液検査でホルモン値を計測し、ホルモンを出す脳・副腎・卵巣をMRI・CT・超音波などで検査します。
脳下垂体のホルモン異常

若年性甲状腺機能低下症、脳挫傷、脳炎などの影響で脳下垂体のホルモン分泌が異常になり、多毛になることがあります。
■ 思春期早発症
ワキ毛や陰毛といった第二次性徴後に生えてくる毛が早くから生えてくる場合、思春期早発症が考えられます。
女なら8歳より前、男なら10歳より前に陰毛が生えてきて、その他にも月経・乳房発育・声変わり・精巣が大きくなるなどが通常より2年ほど早くなります。
原因としては脳腫瘍によりホルモンが異常に多く出ている場合や、卵巣や精巣が脳の指令なしに暴走している場合もあります。ホルモンの働きを抑制する薬で治療します。
神経性食思不振症(拒食症)

神経性食思不振症(拒食症)により、体重が落ちると毛が濃くなることがあります。
逆に子どもの体毛が薄い場合の原因

無毛症
常に珍しい病気ですが、まつ毛・眉毛・頭髪も全てない症状の病気があります。
胃腸の病気
高熱が出た後や頭をケガした後、胃腸の病気で栄養が十分取り込めない場合、皮膚に炎症が起こった後などに脱毛が起こることがあります。
ダウン症
ダウン症など遺伝子の病気で生まれつき毛が薄いことがあります。
その他疾患
・脳下垂体の病気
・亢進症
・膠原病
・白血病
・がん
など
子どもが注意したいムダ毛処理

脱色 、脱毛クリーム
子どもは皮膚が薄く敏感なため薬剤によるかぶれが起こりやすいかもしれません。
カミソリ 、電気シェーバー
扱いが下手で皮膚を傷つけたり、皮膚表面の角質を取り過ぎて乾燥や毛穴詰まりの原因になる可能性があります。
子どもの場合、処理するのであればカミソリでの処理が最も現実的と思われますが、以下について事前に親が教える必要があると思われます。
■ 注意点
・シェーブローションなどを使用し肌への摩擦を減らすこと
・剃ったあとのカミソリの処分方法
・感染のリスクがあるため他人と共有しないこと
・剃ったあとの保湿
毛抜き
抜いた後に感染を起こすことがあるので、清潔にして行う必要があります。
子どものムダ毛の悩みは深刻
命にかかわらない見た目の問題はいろいろありますが、生まれつきのアザなどは健康保険適応で、全身麻酔をかけてでも治療できますし、毛髪の円形脱毛症についても保険適応の治療があります。男性の頭の脱毛については自費ではありますが様々な治療法があります。
しかし、毛が多いという悩みについては「世俗的で医者が扱うような悩みではない」と考えられています。毛深いことを気にして肌を見せる習い事(水泳、バレエなど)ができなかったり、友人に毛深いと指摘されてハサミで毛を切ろうとして皮膚を切ったという例もあるようで、悩みは深刻です。
子どもの求めるままに脱毛サロンやレーザー脱毛をさせるのが良いのか、「そんなこと気にしなくていい、あなたはそのままで大丈夫」と言うべきか、難しい問題だと思います。
最後に医師から一言
人間であれば多かれ少なかれ生えているのが自然な毛を、「毛は汚らわしいもの、原始的な印象」というファッション的な価値観をそのまま受け入れ、いじめられたら嫌だからと幼いうちに処理してしまうというのが正解なのかも疑問が残ります。
一般的な価値観から外れたものを「認めない」という姿勢につながるのではないかと個人的には危惧します。
(監修:Doctors Me 医師)
参考文献
・文光堂 皮膚科診療プラクティス 毛と爪のオフィスダーマトロジー