人事コンサルが教える! 就活で「コミュニケーション能力」が重視される理由

就活スタイル

就活の面接などにおける選考基準のひとつとして、「コミュニケーション能力」が挙げられることは多いですよね。また、社会人としていざ企業で働く際にも「コミュニケーション能力」が重要だとOB・OGの社会人から言われたことがある人も多いでしょう。しかし、具体的にこの「コミュニケーション能力」がなにを意味するのか、人事や面接官が言う「コミュニケーション能力」の本質がよくわからない……という就活生も少なくないのではないでしょうか。今回は世界4大会計事務所の1つであるDeloitteで12年間コンサルティング業務に従事し、その後多くの企業の現場でコンサルティング活動を行ってきた安達 裕哉さんに、企業が就活生に求める「コミュニケーション能力」について詳しくお伺いしました。



「コミュニケーション能力」は、企業が新卒学生に求める能力として13年連続1位(2016年・経団連調べ)にもなっているなど、就職活動において重視される能力のひとつです。では、どうしてこの「コミュニケーション能力」が重視されているのでしょうか。そこにははっきりとした理由があります。今回は多くの企業の現場でコンサルティング活動を行ってきた立場から、就活生のみなさんに知っておいてほしい、「コミュニケーション能力」の本質を詳しく説明します。

まずは「企業が求めるコミュニケーション能力とは何なのか」から明らかにしていきたいと思います。というのも、多くの学生がその能力を少し誤解しているからです。

例えば、面接で「あなたのコミュニケーション能力の高さを伝えるエピソードはありますか?」というような質問をすると、たいていの学生は次のようなアピールをしがちです。

「会話を盛り上げるのが得意です」
「友だちがたくさんいます」
「初対面の人とも気後れせず話せます」

そうやってアピールをする学生の気持ちも、わからないわけではありません。なぜなら学生にとっては、ゼミやサークル、コンパなどで「一緒にいて楽しい」ということが、必要とされるコミュニケーション能力の本質だったからです。

しかし、企業におけるコミュニケーションの目的は「一緒にいて楽しい」ではなく、「一緒に仕事をして成果が出る」ことです。ここが、企業と学生が大きくボタンを掛け違っているところです。「一緒に仕事をして成果が出る」ための、企業が求める「コミュニケーション能力」とは、具体的には「自分のアウトプットを誰かに利用してもらうための力」です。


たとえば、社内で黙々とソフトの開発作業をするプログラマーにも、コミュニケーション能力があるに越したことはありません。プログラマーが開発したソフトはどうしたら、お客さんに売れるでしょうか? もちろん、いま作っているソフトのプログラムは、プログラマーが直にお客さんに売るわけはありません。これを社内の営業が、お客さんであるクライアントに説明をして、「これはうちの会社にとって必要だ!」とならなければお客さんには届かないのです。

営業がお客さんに説明するためには、開発したプログラマーをまじえて、たとえば次のようなコミュニケーションが必要になります。

「どんな目的でつくったのか?」
「どのように使うのか」
「注意点は?」

そういったやりとりがなければ、いくらプログラマーがいい商品を開発したとしても、そのアウトプットはお客さんのもとに届かないし、うまく利用されません。すなわち「成果が出ない」ことになります。

ほかにも、例えば新製品のチラシをつくるときにも、コミュニケーション能力が問われます。そのチラシは、あなた以外の社内の人が「これを読んだら売れそう!」と思うのはもちろん、チラシを読んだお客さんが「買おう!」と思うようなものでなければなりません。お客さんが「買おう!」となるには、お客さんの立場に立った、お客さんの心を動かす(=成果につながる)チラシ(=アウトプット)が求められます。

このように、ほとんどの仕事には、自分のアウトプットを誰かに利用してもらうために、相手に何かを伝えなくてはならない場面があり、そこにはすべて「コミュニケーション能力」が求められます。だから、「コミュニケーション能力がないと、仕事ができない」ともいえるのです。そう考えると、就職活動において「コミュニケーション能力」が重視されることにもうなずけますよね。

文・安達 裕哉
1975年東京都生まれ。筑波大学環境科学研究科修了。世界4大会計事務所の1つである、Deloitteに入社し、12年間コンサルティングに従事。在職中、社内ベンチャーであるトーマツイノベーション株式会社の立ち上げに参画し、東京支社長、大阪支社長を歴任。大企業、中小企業あわせて1000社以上を訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。その後、起業して、仕事、マネジメントに関するメディア「Books&Apps」(読者数150万人、月間PV数200万)を運営する一方で、企業の現場でコンサル ティング活動を行う。


『仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」は どう身につければいいのか?』http://www.njg.co.jp/book/9784534055170/

コミュニケーション能力とは何か、どう身につければいいのか? 1000社以上を訪問し、8000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をし、150万人の琴線に触れた人気サイトBooks&Appsを運営する著者がその答えや暗黙ルールを明らかにします。

※この記事は、『仕事で必要な「本当のコミュニケーション能力」はどう身につければいいのか?』のP51~56の内容をもとに、就活生の読者向けに再編集したものです。

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