本好きリビドー(177) (2/2ページ)
同書によると、島で売春が行われるようになった成り立ちがまず興味深い。話は江戸時代末期〜明治初期にまでさかのぼる。島は「風待ち港」、つまり物資を運搬する船が、運航するのに程よい風を待つため停泊する場所だった。そこに、船員相手の「女郎」が現れる。
第二次大戦終戦後に売春が禁止されると、今度は「置屋」が登場する。置屋は表向きはスナックなどの飲食店だが、娼婦が在籍し、交渉が成立すれば別室で性行為に及ぶ。置屋を最初に開設した「4人のオンナ」の内、現在も存命中の1人に直接インタビューするなど、体当たりで敢行した取材が生々しい。
1980年代初め頃の最盛期には常時50〜60人ほどの娼婦がいたという島も、現在は衰退し寂れた雰囲気が充満しているという。
凋落した理由は何だったのか? また、「島から泳いで脱出した女がいた」「島で写真を撮るのはタブー」など、今もネットに絶えず拡散する島にまつわる都市伝説も検証し、読み応えあるノンフィクションとなっている。
著者は、ルポライターの高木瑞穂氏。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)