人口減の日本で「水」が危ない 水道事業が抱える構造的な問題とは (2/2ページ)

新刊JP

水道設備の建設・維持管理にかかる費用を大幅に切り詰めることは難しく、水道料を上げるにも限度がある。

このことが示すものは何か。
「人口規模の小さい自治体ほど水道事業の経営が困難になる」ということである。

本書によると、給水人口が5万人を割ると、自治体は料金収入だけでは水道事業を維持できなくなり、一般会計からの負担金等で赤字を補填する傾向にあることがわかっているという。「事業を維持できるかは人口頼み」というのが今の水道インフラの構造的な問題なのだ。

となると、人口減社会の水道事業を考える際に、「事業者の再編」は大きなテーマとなる。具体的には自治体単位ではなく、人口過疎地域も過密地域も含めた広域を担う事業者を編成していくことが、今後日本で水道事業を効率的に維持していくために必要となるわけだ。

本書では、海外の事例などを参考に、水道事業の広域化に必要な法整備や課題、運営面での方策を解説していく。

どの地域もどんな人も無関係とはいかない水インフラ。未来の日本や未来の私たちの生活がどのようなものになるか。本書が示すものは重い。
(新刊JP編集部)

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