西内まりや「社長殴打事件」の後始末に見る商品価値と精神状態｜やまもといちろうコラム
かねてから「感情が不安定になっているのではないか」と心配されていた西内まりやが、所属する事務所ライジングプロダクションの春日隆さんを引っぱたいて二週間の加療が必要とかいう傷害事件を起こしておりました。ビール瓶じゃなかっただけ良かったなという軽口も憚られるぐらい微妙な事件ですが、その後もどうにもややこしいことになっております。
社長暴行疑惑の西内まりや、深刻な状態か…交際相手が原因で事務所も制御不能か
この西内側の代理人が取材に対して殴打事件そのものを否定するコメントを出しているようなので、ライジング側が騒ぎ立てるかどうかで話の趨勢が決まるタイプの代物ではあります。とはいえ、すでに幾つか報じられているとおりモデルの呂敏との交際にまつわる話でいろんな話を吹き込まれて西内本人が対事務所や周辺の人間関係を巡って人間不信に陥っていて、いくつか仕事がドタキャンになって穴埋めで他の先輩タレントが駆り出されるなどの騒ぎがあったのは概ね事実です。
こういうトンネルに入るとスケジュールをきちんとこなしてナンボで、穴を開けたら事務所が損害賠償を被るのが当然の業界ですから、先々の仕事を押さえることができず露出が減ってしまうのは仕方のないことだと思うんですよね。それに先だって、フジテレビ系の連続ドラマの主役に抜擢された『突然ですが、明日結婚します』が激しくコケたりしておったわけですが、これも西内まりやだけが悪かったのかと言われると大変微妙なところです。そもそもこの枠は別の作品をやる予定だったはずが、いろいろあって… という話でしたので、いわゆる「数字は悪いけど作品としての出来が云々」という救いもなかったという点で辛いのです。
ハーフモデルの呂敏については、西内まりや以外にも手広くいろんな御仁との交際もあるでしょうし、そういった部分も含めてライジングはしっかりと管理しておったのかと言われるとこれまた実に微妙なところがあります。一般論ですが、未成年のころから人気ものになり、その世代を代表されるタレントになるまでは本人の容姿や事務所の見せ方も大きく左右するところですが、ある程度歳を取ってくると下から別の年代を代表するモデルは出て来るし、年相応のケレン味なり芸なり芝居なりができないと生き残ることができない世界でもあります。優れた才能を持っていながら代表作に巡り合うことができず沈没していくタレントは多数いるのと同様に、いまひとつパッとしないタレントと熱愛報道がノーガードで出てきてしまっては同世代の同性支持者も剥げ落ちてしまい、商品価値が保てないのも致し方ないところかもしれません。
どういうわけか早くも契約解除からの移籍先事務所のネタまで掘り出されているのですが、実際のところ、半ば悩み深く病み始めていた西内まりやを上手く乗せたというかそそのかしたのはソニーミュージック系の音楽プロデューサーさんと見られます。悪気なく親身になって相談に乗っただけなのか、上手く一儲けを企んだのか、あるいは人間固有の劣情もあったのかは詳しくは話が出てきていませんが、契約書にない微妙な感じの請求をしてきたり、人間関係のトラブルでIT系企業の社長とあれこれあったという事情もあるようです。人間、自分の力できちんと積み上げたものがない場合は、落ち目になったり弱ったりするとこういう変な人達に食い込まれて遠回りをしたり破滅したりすることが往々にしてあるのが摂理なんじゃないかと思うぐらいに、見事に食い散らかされてしまうのであります。
ライジングとしても、これから平愛梨と並ぶ事務所の目玉として育成していこうという気持ちは強かったでしょうが、こういう形で玉を取られるというのは頭がいたいんじゃないかと思うんですよね。同じような流れで能年玲奈など独立騒動が頻発するのがこの業界の習わしのようですけれども、年端の行かないうちから人気が出た才能ある子たちのハンドリングはそろそろ真面目に考えざるを得ない社会情勢になったのだなあと改めて感じる次第です。
著者プロフィール
ブロガー/個人投資家
やまもといちろう
慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』（宝島社新書）など多数
