話題の1冊 著者インタビュー 今野敏 『マル暴甘糟』 実業之日本社 694円(本体価格) (1/2ページ)
――週刊実話で連載した単行本も重版となり、今度は文庫本での発売となりましたが、表紙がガラッと変わりましたね。
今野 文庫本化するにあたって、コミカルな感じを出してほしいとリクエストしました。主人公の甘糟のイメージが出ている表紙ですよね。色も黄色で手に取りやすいと思いますし、単行本とはまるで違うので、違う作品と思われるかも知れませんが、1人でも多くの人に手に取って気軽に読んでもらいたいです。
――舞台の設定が東京・綾瀬というのは、どうしてでしょう?
今野 そんなに土地勘がある訳ではないんです。語呂かなぁ(笑)。実際の綾瀬より下町っぽいですね。架空じゃないけど、架空であるパラレルワールドみたいなものです。
――主人公の甘糟は、刑事にしては弱腰で刑事らしからぬキャラクターですが…。
今野 甘糟は、任侠シリーズの脇役だったんです。警察ものというと、いかにも、という人物が多い。実際にこんなのもいるんではないかと思うんです。嫌々やっているというような。サラリーマンとか営業が向いていないのにやらされている、お金もらうために仕方なく仕事している人も多いと思うんです。自分も実際、会社員のときは宣伝部にいたんですが、嫌々やってたんです(笑)。引っ込み思案で、人見知りなので、人と会うのが苦痛だったんです。それなのにどんどん人と会わなければならない。仕事には向き、不向きがあると思うんですけど、自分の好きな仕事をやれる人は少ないでしょう? だから、そんな人たちに読んでもらいたい。
――今野先生自身の経験からきているんですね?
今野 どんな作品にも自分が反映されているんです。こんな人になりたいという憧れだったり、経験だったり、自分が共感出来るものでないと書けないですから。
――今野先生は、作家の他に空手道場を主宰し、フィギュア作家でもあり、ご自身でレーベルもやって大忙しです。時間がないのでは?
今野 空手は稽古日が1週間のうち決まった日にやるし、フィギュアは執筆が終わった夜に制作しています。時間配分のパターンが出来ているので大変なことはないです。