気になる子どもの胸の凹み…「漏斗胸」の症状とリスクを解説

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幼少期の頃から、「漏斗胸」と呼ばれる胸のあたりが凹んでいるような症状のお子さんがいらっしゃいます。



思春期になるとプールの授業等で肌を見せるシーンでは、見た目がコンプレックスになってしまうこともあるようです。



今回は、漏斗胸の症状・治療法・改善法などを、医師の武井先生に解説していただきました。






漏斗胸とは

肋骨


胸の前の骨格の部分が凹んでいる状態の病態です。その度合いは個人によって異なります。



漏斗胸の原因は現時点で確かなことはまだわかっていませんが、胸の骨を形成する肋骨の成長がアンバランスになる可能性があるといわれております。



漏斗胸になりやすいタイプ

・男性でやせ型


・家族で漏斗胸の人がいる




漏斗胸の症状 

漏斗胸の症状としては、年齢とともに変化していきます。



乳幼児期

乳児



骨の成長が始まる乳幼児期では、漏斗胸が重度となると気管支や肺を圧迫することがあります。症状としては咳込みをする時期が長い、肺炎・気管支炎になる頻度が多いという症状があげられます。



学童期

小学生のプールの授業



学童期以降では学校で体育が始まるために、運動についていけない、すぐに息があがるという呼吸器の症状と、これに伴って疲れやすい、胸が痛くなるという症状があります。



学童期では、プールの授業などで、この疾患の見た目を気にするという美容面でのストレスも生じる時期となります。



 


女性の漏斗胸の特徴

女性の胸の悩み


女性の場合、特有の問題があります。乳房の発育に左右差がある、大きくならない、サイズのあうブラジャーが見つかりにくいという生活をする上での症状がみられます。




漏斗胸は大人になって自然と治るもの?

成人男性の上半身


この漏斗胸は、3歳くらいまでは骨格が成長して変化していきますので整う可能性があります。このため、3歳くらいまでは基本的には経過をみて良いとされています。



小学校の高学年頃から、胸郭が非対称に変化していきます。成人となり皮下脂肪や筋肉がついて、身体が全体に丸くなってくると、軽度の変形であれば体の表面からは目立たなくなることもありますが、実際には肋骨の変形・内臓の圧迫には変化がないのが実情です。




漏斗胸によって考えられる疾患リスク

咳をするこども


漏斗胸によっては前述のように、呼吸機能、心機能、重度となると食道への圧迫による消化器機能へ影響がでることがあります。



呼吸機能

喘息と似た喘鳴(ぜんめい)や呼吸困難、咳が長引く、気管支炎肺炎になりやすいという状態です。



心機能

圧迫による心拍出量の低下や弁の逆流などによる心機能低下が懸念されます。



消化器機能

食道を圧迫する場合には吐きやすい、食が細いという症状があらわれます。




漏斗胸の治療法

手術


Nussの手術が検討されます。その他には、胸の壁を持続的に吸引することによる治療法もありますが、手術と比較するとその効果は限定的になります。


 



漏斗胸の改善方法

水泳



漏斗胸の日常生活での改善・対応としては、定期的な運動が推奨されます。



水泳 

身体の全身の筋肉バランスが調節されて、適切な心肺機能が保たれる水泳が推奨されます。



ストレッチ

上半身のストレッチを定期的に行うことにより、肩・背骨の骨格維持や関節拘縮を予防することにより漏斗胸の悪化が予防できると考えられています。




最後に武井先生から一言

小児科


漏斗胸の方は、見た目のコンプレックスを気にされる方が多いと思います。



その他にも生活をする上での呼吸機能・心機能などへ影響がでている可能性もあります。このため、漏斗胸を総合的に管理できる医師にご相談されることをおすすめします。


【監修:医師 武井 智昭】
プロフィール)
慶応義塾大学医学部で小児科研修を修了したのち、 東京都・神奈川県内での地域中核病院・クリニックを経て、現在、なごみクリニック院長。
0歳のお産から100歳までの1世紀を診療するプライマリケア医師。
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