「扶養」とはどういう意味? 扶養控除内の金額は?

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「扶養」とはどういう意味

社会人は年末になると年末調整のための書類を書きますが、このときに「扶養家族」という言葉をよく目にします。では、この「扶養」とはどういう意味なのでしょうか。今回は、扶養控除の金額や申告の仕方など、「扶養」についてご紹介します。

■「扶養」とはどういう意味?

まず「扶養」とは、生活能力がない人(主に経済的な原因による)の面倒を見ることで、「扶養家族」とはその対象となっている家族のことです。例えば、家族のうち父親だけが働いて収入を得ているとすると、配偶者や子供は「扶養家族」に当たります。

日本の法律では、「税金上の扶養」と「健康保険上の扶養」という二つの制度があり、これらは全く別のものなのです。「税金上の扶養」では「扶養家族」のことを「扶養親族」といい、「健康保険上の扶養」では「被扶養者」といいますが、ただ一緒に住んでいるだけでは「扶養」とは認められません。どちらの場合でも、「扶養」の対象になるためには条件が定められています。

■「税金上の扶養」

日本の「所得税法」では、扶養の対象(扶養親族)になる人を次のように定義しています。

三十四 扶養親族 居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)並びに児童福祉法(昭和二十 二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号(都道府県の採るべき措置)の規定により同法第六条の三第一項(定義)に規定する里親に委託された児童及び老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第十一条第一項第三号(市町村の採るべき措置)の規定により同号に規定する養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するものを除く。)のうち、合計所得金額が三十八万円以下である者をいう。

⇒データ引用元:『新日本法規出版株式会社』「所得税法」
https://www.westlawjapan.com/laws/2010/20100401_6_01.pdf

文中の「居住者」というのは税金を納める人で、上の例でいえば「父親」に当たります。また、19歳以上23歳未満の者を「特定扶養親族」、70歳以上の者を「老人扶養親族」と定めています。まとめると、以下の条件を全て満たしていることが条件となります。

・居住者の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族(いんぞく)で、配偶者は除く)、または都道府県知事から教育を委託された児童(いわゆる「里子」)、または市町村長から養護を委託された老人
・居住者と生計を一にしている
・年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
・青色申告者の事業専従者としてその年に給与の支給を受けていない、または白色申告者の事業専従者ではない

上記の条件を満たしている者は控除対象の「扶養親族」となり、居住者は「扶養控除」として一定額の所得控除を受けることができます。つまり、扶養親族がいる人は、税金が安くなるということです。

控除される金額は、扶養親族の区分によって以下のように変わります。

・一般の控除対象扶養親族※1……38万円
・特定扶養親族※2……63万円
・老人扶養親族※3(同居老親等以外の者)……48万円
・老人扶養親族(同居老親等※4)……58万円

※1……扶養親族のうち、その年の12月31日での年齢が16歳以上の人のことを指します。
※2……控除対象の扶養親族のうち、その年の12月31日での年齢が19歳以上23歳未満の人のことを指します。
※3……控除対象の扶養親族のうち、その年の12月31日での年齢が70歳以上の人のことを指します。
※4……老人扶養親族のうち、納税者またはその配偶者の直系の尊属(父母、祖父母等)で、納税者またはその配偶者と常に同居している人のことを指します。

注意点としては「扶養控除」と「配偶者控除」は別のものとして定められているため、例えば納税者の妻が専業主婦であっても配偶者は扶養家族からは除外されるということ、「生計を一にする」といっても、必ずしも同じ家に住んでいなくてもよいということです。

後者については、仕送りに頼って一人暮らしをしている大学生の子供、病気などで入院している高齢の親なども扶養親族と認められる場合があるからです。

⇒データ引用元:『国税庁』「No.1180 扶養控除」
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1180.htm

●「扶養家族」の申告の仕方

給与の支払いを受ける人(給与所得者)が扶養控除を受けるには「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を、給与の支払い者(勤めている企業)に提出します。サラリーマンの場合には、年末になると「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類が会社から配布されます。それに必要事項を記載して会社に提出すれば、人事部が税務署に一括して提出してくれます。個人事業主の場合は、確定申告が扶養控除申告を兼ねているため、特別な書類の提出は必要ありません。

■「健康保険上の扶養」

健康保険では、健康保険に加入し、病気やけがの際に必要な給付を受けられる人のことを「被保険者」といいます。また、被保険者の配偶者など、規定範囲内の人を「被扶養者」といい、被扶養者についても保険給付が行われます。税金の控除のような直接的なものではありませんが、扶養家族がいることのメリットと考えられます。『日本年金機構』による被扶養者の範囲は以下のとおりです。

1.被保険者と同居している必要がない者

・配偶者
・子、孫および兄弟姉妹
・父母、祖父母などの直系尊属

2.被保険者と同居していることが必要な者

・上記1.以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪(おいめい)とその配偶者など)
・内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

さらに被扶養者に該当する条件として、被保険者によって生計が維持されていることのほかに以下のいずれにも該当しなければなりません。

●収入要件

年間の収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合、年間収入180万円未満※5)で、さらに以下の条件を満たさなければなりません。

・被保険者と同居している……収入が被保険者の収入の半分未満※6
・被保険者と別居している……収入が被保険者からの仕送り額未満

※5……年間収入とは過去1年間の収入ではなく「被扶養者に該当する時点」および「認定された日」以降の年間の見込み収入額です。例えば、給与所得等の収入がある場合にはその月の給与所得が10万8,333円以下となります。
※6……被扶養者の収入が被保険者の収入の半分以上になる場合でも、日本年金機構の判断によって被保険者がその世帯の生計維持において中心的役割を果たすと認めた場合には、被扶養者となることがあります。

●同一世帯の条件

配偶者、直系尊属、子、孫、兄弟姉妹以外の3親等内の親族の場合、被保険者と同一世帯でなければなりません。

被保険者に被扶養者がいる場合や被扶養者の追加、扶養から外れる等の変更があった場合、事業主に対して「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。

⇒データ引用元:『日本年金機構』「健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20141204-02.html

税金上の扶養、健康保険上の扶養、所得税についての配偶者など、仕組みについておわかりいただけたでしょうか? 扶養について説明する際には、税金上のことなのか、健康保険上のことなのか、明確にしておかないと混乱しがちなので気を付けてください。

(藤野晶@dcp)

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