森鴎外の名作・山椒太夫、原作は子ども向けの元ネタとは思えないかなりヘビーなものだった (2/3ページ)
安寿が意図的に厨子王を逃がしたのを知った太夫とその息子である三郎は彼女を拷問責めにし、ついに死に至らしめてしまいます。
なお、安寿が辿った結末は地域や作者によってさまざま。
生き延びて佐渡に渡り、母に会うが信じてもらえず、棒で叩かれて死亡(佐渡) 厨子王と二手に分かれて逃げるが、疲労と飢餓が原因で亡くなる(京都府宮津市由良) 恋人や忠臣の尽力で存命し、ハッピーエンド(文楽・『由良湊千軒長者』)儚く散ってしまう鴎外版や、彼女も助かる児童書がお馴染みですが、各地に残る伝承では結末も様々です。その多様性は、如何にこのヒロインが愛されているかを示してもいます。
厨子王は無事に御家再興を果たすが…さて、逃げた厨子王は国分寺の親切な僧侶の助けもあって都へと落ち延び、梅津の院という貴族に助けてもらいます。朝廷に訴えて父君の無罪を勝ち取り、没収された領土や官位も返還された厨子王は、母君も救い出してめでたく大団円となるのです。
そうした奇跡を呼んだ守り本尊を丹後の国に祀ったのが、金焼地蔵菩薩の始まりとして語られます。
このくだりは、鴎外版で出会う公卿が実在した関白・藤原師実だったり、父である平正氏が亡くなっているなどの差異はありますが、基本的なストーリーの流れは変わりありません。
最大の違いは丹後での厨子王の描写です。
怒りの厨子王のお仕置きが過激過ぎる!丹後の国司になった厨子王は山椒太夫一家を国分寺に招待し、姉を殺したことに一片の反省も見せない太夫らを叱責しつつも、寛大な姿勢を見せます。(安寿と厨子王に親切だった太郎と次郎は放免)
「恨みを報ずるのではなく、恩情で報いましょうぞ。大国と小国、どちらが欲しいかな?」
それに対して、国司に媚びて領土を貰おうとあらかじめ太夫と打ち合わせをしていた三郎が返答しました。
