「お前なんか辞めちまえ!」はパワハラになる?意外に知らない「パワハラの基礎知識」 (2/3ページ)
三つ目は、「就業環境調整保持義務」。
これは「安全配慮義務」の考え方が発展したもので、上記に加え、使用者は労働者の心身の健康を保つ義務があるという考えだ。
たとえば、労働契約の趣旨の範囲を逸脱する業務に従事させたり、使用者がパワハラを看過したりすることで、労働者の心身や人格を傷つけたと判断された場合、違反だとみなされる。
こうした視点で法の判断が行われるが、被害者が受けた仕打ちが全面的にパワハラに該当すると判断されることもあるし、一部の事柄がパワハラとして認められることもある。法の視点から見ると、パワハラか否かというボーダーラインは曖昧なものなのだ。
著者によれば、法律は結構アバウトで「人格権を侵害する行為はいかんよ」と言っているに過ぎないという。だが、過去のパワハラの裁判例を踏まえるとどのような行為がアウトなのかがおぼろげながら見えてくる。
・有形的な暴力
・配置転換、仕事の取り上げ、過度の仕事の配分
・長時間労働による、労働者の精神疾患(うつ病など)の発症
・言動の暴力(人格権を侵害する言動、業務を逸脱した合理性のない命令など)
法的には、これらの内容や目的、程度、回数などの事実関係を鑑みて、裁判官が判断することになるのだ。つまり、「おまえなんか辞めちまえ!」という上司の言葉も、一概にはパワハラだと決めつけられないかもしれないのだ。
■パワハラへの対抗策は「証拠の確保」と「相談」では、パワハラに遭遇した場合はどうしたらいいのだろうか?
真っ先にやるべきことは「第三者が後から理解できるようにするための事実の確保」と、その後の「行政機関や専門家への相談」だ。
いつ、どこで、誰が何をしたかをメモに残す。送られてきたメールを紙ベースで残す。ICレコーダーで音声を残す。まず、こうした証拠を残して、事実の確保をする。