「宝くじ」という名のボッタくりシステム ~その5~

(その4からの続き)
高額化か当選本数増か。2012年以降、各ジャンボ宝くじを含めた宝くじ全体の売り上げは苦戦しており、こうした低迷から高額化か、億単位ではなく千万単位の当選本数を増やすかで紆余曲折しているのが“宝くじ商売”の実情だ。
行列に並びながらこう思う人もいるに違いない。「毎年サマージャンボ、ドリームジャンボ、年末ジャンボとジャンボを総なめにするけど『組』ですらめったに当たらない。こんなことなら買うより売る側に回って一攫千金を狙おう」
結論から言うと宝くじを一般人や会社などが発売することは刑法187条で禁止されている。宝くじを販売できるのは、宝くじに関する『当せん金付証票法』(1948年施行)で定められている都道府県と指定都市だけだ。「でもスーパーの軒先で売ってるじゃん」と反論する向きもあろうが、これは軒先を借りた再委託業者が売っているのだ。
地方自治体も総務相の許可を得て発売元になっているが、発売などの実務はみずほ銀行へ委託している。事務を受託したみずほ銀行は、発売元である地方自治体の定めた発売計画に従って、宝くじ券の図柄の選定や印刷、売り場への配送、広告宣伝、売りさばき、抽選、当せん番号の発表、当せん金の支払いなどの一切を行う。
こうして宝くじ販売で得た収益金は、抽選会終了後、時効当選金は時効成立後、それぞれ発売元に納付され、これで1回分の受託業務は終了する。
以上、説明したような宝くじの受託銀行は何もみずほ銀行でなくてもよいはずだ。
「ほかの金融機関の参入も可能ですが、みずほ銀行の前身行のひとつである第一勧業銀行時代から独占してノウハウを蓄積してきた同銀以外は、事実上手を出せないのです」(銀行法などに詳しいジャーナリスト)
宝くじ販売の利益率は1%以下!?
宝くじについては、2010年に政府の行政刷新会議の『事業仕分け第2弾』で、宝くじ関連の日本宝くじ協会、自治総合センター、全国市町村振興協会の3財団法人が、国からの税金が流れているわけではないものの、無駄が多いと指摘され、仕分けの対象となったことがある。
だが、ほぼ独占的に宝くじ販売を受託し続けるみずほ銀行に事業仕分けのメスは入らなかった。ということは、宝くじの販売市場に参入するには、みずほ銀行から承認(業者登録)を受けた再委託業者になればよい。
ところが現在、みずほ銀行では基本的に新規参入を認めていない。だから結論は、いくらもうかりそうだと手を上げても宝くじを売るのは無理ということになる。
そこで宝くじ販売は儲かるのか、取材を試みた。東京都内に本社を置く再委託業者は60社ほどある。このうちの数社に取材を申し込んだが「みずほ銀行に聞いてくれ」と異口同音に断られた。
しかし、複数の宝くじ販売関係者などから驚くべき情報を得ることができた。
その一端を披歴すれば、新規参入のない業界だからもうかっているかと思いきや、1億円売り上げて利益は100万円に届くかどうかだという。何と利益率は1%以下、典型的な薄利多売業種だ。それなのに、なぜ宝くじ販売をやっているのか――。
(その6に続く)
【画像】
Graphs / PIXTA(ピクスタ)
【特集:「宝くじ」という名のボッタくりシステム】
#5「宝くじ」という名のボッタくりシステム ~その5~