メガバンク「大量リストラ」から考える10年後消える仕事

まいじつ

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2013年に英国オックスフォード大学のオズボーン准教授が『雇用の未来―コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文を発表した。論文では、今後10~20年ほどで機械化によって人間の仕事が約47%自動化されるリスクが高いと警鐘を鳴らしている。

オズボーン准教授はAI(人工知能)の研究をしている学者だ。AIは現在、世界的に最も開発が著しい分野と言って過言ではない。その専門家が機械による自動化により、具体的な職種を挙げながら人間の仕事が奪われてしまうことを打ち出したことは、世界的に大きな話題となった。

2013年の論文発表から5年が経過したが、実際にわれわれ人間の職はコンピューターにどれくらい奪われているのだろうか。3大メガバンクであるみずほフィナンシャル・グループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友銀行フィナンシャル・グループが相次いで人員削減を発表した。メガバンク3行だけでも、これから3~10年をかけて3万2000人をリストラすることになるという。この背景にはやはりインターネットの普及が大きく影響しているようだ。

「スマートフォンやパソコンから残高・明細照会や振り込みなどのさまざまなサービスが利用できる『インターネットバンキング』が今後主流となってきます。銀行までわざわざ足を運ぶ必要がなくなるのです」(経営コンサルタント)

しかし、3大メガバンクだけでも3万人超の行員がリストラされ、さらに地方銀行まで合わせるとどれだけの人間がリストラされてしまうのだろうか。

「リストラというと、いわゆる“クビ”を連想してしまいがちですが、本来、リストラとは経済環境の変化に応じて、収益力を高めるために行う事業の再構築のこと。つまり不採算部門から撤退、組織の簡略化を図ることを指します。今回3万2000人分の業務を削減することを発表したまでで、解雇することではないのです」(同・コンサルタント)

どんな仕事がAIに替わっていくのか

しかし、これだけ多くの人間がAIを中心としたコンピューターに替わられたら、組織の中で再配置するといっても、当然あふれて必要なくなる人間も出てくるだろう。これは銀行業界に限ったことではない。これまでは企業に入れば定年まで安泰だった日本の働き方が大きく揺らいでいる。

「ロボットやコンピューターは芸術などのクリエイティブな作業には向いていません。グラフィックデザイナーやコピーライターなど、創造的な仕事はなくならないといわれています」(同・コンサルタント)

いつ自分の仕事がAIに奪われるか分からない時代に突入しようとしている。創造力を培っておいて損はないようだ。

【なくなるといわれている主な職業の一例】 銀行の融資担当者 スポーツの審判員 レストランの案内係 電話オペレーター 給与・福利厚生担当者 レジ係 娯楽施設の案内係、チケットもぎり係 集金をする人 パラリーガル、弁護士助手 電話販売員 時計修理工 データ入力をする作業員 苦情の処理・調査担当者 薄記、会計、監査の事務員 訪問販売員、路上新聞売り、露店商人 塗装工、壁紙張り職人

―「雇用の未来」論文より

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