混迷を極める中東情勢「ヨハネの黙示録」最後の封印が解かれるのか

まいじつ

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アメリカのドナルド・トランプ大統領が、イスラエルの首都をエルサレムに認定した。これについて「深刻な懸念」(フェデリカ・モゲリーニEU外交安全保障上級代表)、「決定は遺憾」(エマニュエル・マクロン仏大統領)、「支持しない」(アンゲラ・メルケル独首相)、「同意できない」(テリーザ・メイ英首相)など首脳らが次々と批判の声を上げている。

「中東の情勢は混乱を極めています。サウジアラビアの王室継承問題で、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、汚職摘発を名目に政敵を排除し、イランなどへの強硬姿勢を取る政策に転じたため、王位を正式に継承すれば中東は大きな混乱に陥る可能性が出ていました。そこへこの『エルサレム問題』ですから、第2次朝鮮戦争が早いか、第5次中東戦争が早いかという状況に陥っています」(中東問題に詳しいジャーナリスト)

サウジアラビアのほかにイランを敵対視するのは、イスラエルがある。そのイスラエル軍のトップであるガディ・アイゼンコット参謀総長はサウジアラビアのメディア『イーラフ』のインタビューに応じ、共通の敵国とするイランに対抗するため「イスラエルは経験や情報を共有する用意がある」と述べて、サウジアラビアへ向けて異例とも言える連帯を呼び掛けた。

様々な勢力の利害が絡まり混迷するレバノン

一方で、シリアにはロシア軍が駐留しており、次の戦場はスンニ派、シーア派、シーア派武装組織ヒズボラ、キリスト教徒マロン派など敵味方が入り乱れるレバノンだとされている。

「レバノンはシリアに近接していて、イスラエルが目の敵にしているヒズボラが存在するので、イスラエルとサウジアラビアが組むことで、レバノンでヒズボラを協力して倒すという可能性が出てくるのです。サウジアラビアでサルマン皇太子が政敵排除をしているさなか、レバノンのサード・ハリリ首相は、サウジ滞在中に突然辞任を表明しています。辞任理由について同首相は『イランとヒズボラが自分の暗殺を計画しており、家族が危険にさらされているため』と述べています」(同・ジャーナリスト)

仮にイスラエルがサウジアラビアと結ぶと、中東ではロシアが背後にいるトルコとイラン・シリア・ヒズボラなどのシーア派VSイスラエル、サウジ、クルド人のスンニ派という戦いの構図が形成されることになる。

新約聖書の最後に配されている『ヨハネの黙示録』第6章は、7つの封印について書かれており、そのひとつひとつが解かれるたびに、戦争や飢餓、災害や疫病などが地上に降りかかり、7つ目の最後の封印が解かれたとき、人類は滅亡するとされる。その第7の封印は、中東での核戦争という理解が一般的だ。

最終戦争を意味する言葉“アルマゲドン”は、もともと北イスラエルにある地名だ。ここに人類滅亡の核爆弾が撃ち込まれるのだろうか…。

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