遺伝子の突然変異により、痛みを感じないイタリアの家族「マルシリ症候群」 (2/3ページ)
レティツィアの息子、ルドヴィコ(24)はサッカーをやっているのだが足首にいくつも骨折の跡がみられた。次男のベルナルド(21)は自転車から転倒しやはり骨折していたのだが気が付かず、肘に骨折の跡があったという。
レティツィアの姉、エレナは熱い飲み物で口の中を火傷したことに気が付かず、エレナの娘のバージニアは氷の上に20分間手を付けたまま一度も痛みを感じることがなかった。

・ZFHX2という遺伝子に変異が発見される
この痛覚欠如の原因を突き止めるために、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのジェームズ・コックスらはこの家族をいろいろ調べた。
6人全員が、皮膚の痛覚神経の数は通常の人と変わりはなかったが、ZFHX2という遺伝子に異常が見つかった。
・ZFHX2遺伝子そのものではなく変異が痛みに影響
そこで研究チームは、マウスからこのZFHX2遺伝子をすべて取り去った。すると尻尾に痛みを与えてもほとんどなにも感じないが、熱の刺激には極度に敏感になることがわかった。
次の実験では、マウスにこのイタリアの家族がもつのと同じ突然変異したZFHX2遺伝子を埋め込んでみた。すると、痛みだけでなく、熱の刺激をほとんど感じなくなった。
つまり、ZFHX2遺伝子そのものではなく、変異したZFHX2遺伝子に鍵があるということだ。
通常はZFHX2遺伝子が、痛みを感知する遺伝子を含む、ほかの16の遺伝子の活動をコントロールしているのだが、変異によってこうした影響が出てくるらしいということがわかった。