本田圭佑もGACKTに続いて百鬼夜行な仮想通貨事業に参入の怪|やまもといちろうコラム

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本田圭佑もGACKTに続いて百鬼夜行な仮想通貨事業に参入の怪|やまもといちろうコラム(写真はイメージです)
本田圭佑もGACKTに続いて百鬼夜行な仮想通貨事業に参入の怪|やまもといちろうコラム(写真はイメージです)

 サッカー日本代表の中心人物であった本田圭佑が、仮想通貨関連の事業に参入するという話が出回りまして話題になっています。

■本田圭佑が謎の投資セミナー 仮想通貨ビジネスに参画か│NEWSポストセブン

https://www.news-postseven.com/archives/20180115_643965.html

 NEWSポストセブンでは、本田圭佑が「謎の投資セミナーを開催した」という内容ですが、一部投資家界隈ではすでに具体的なビジネスプランが提示され投資を行った人もいるという情報も出回っており、錯綜しているのが実情です。

 本田圭佑周辺のビジネスは非常にクリーンというか一般的なスポーツアカデミー系のサービス業が中心で、普通のサッカースクールを全国展開しているだけですから、その意味では黒い取引や問題を起こす余地も少なく、利用者も事業者も健全という分かりやすい世界になっています。

 しかしながら、仮想通貨界隈というのはむしろ正反対で百鬼夜行な側面もあり、先日はタレントの「GACKT」が中心となって立ち上げたSPINDLEという問題のありげな仮想通貨事業が話題となりました。単に既存の暗号通貨を使ったICO案件(株式や債券ではなく、暗号通貨による”トークン”と呼ばれる商品を消費者に売って事業の資金調達を行うこと)ならともかく、投資家や消費者の資金を預かり、しかもトークン購入者の意志によって自由に売買することができないという仕組みですので、資金決済法でも金融商品取引法上も違法事業ではないかとみられる微妙な代物です。

■タレント「GACKT」が仮想通貨ICO参入も問題続発、フィンテックバブルはどうなるのか(山本一郎) - Y!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20171230-00079898/

■「GACKTのICO”SPINDLE”はどうしたら適法になるのか」にみる仮想通貨取引への注意喚起(山本一郎) - Y!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20180113-00080309/

 仮想通貨取引については、世界的に規制をかける方向に動いている中で、日本はなぜか「先進的な技術によって金融技術(フィンテック)関連のトップランナーになれる分野かもしれない」というアクセルの踏み方をしているので、改めて仮想通貨関連では麻生太郎財務大臣のように踏み込んだ発言が日本政府内からも出てきているのが実情です。

■麻生金融相、仮想通貨「何でも規制すればいいとは思わない」:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL12H7I_S8A110C1000000/

 むしろ、仮想通貨を貨幣に準ずるものと認定したため、アメリカや中国、韓国とは異なり仮想通貨を巡る取引において日本は独自の道を歩んだことになります。

■ビットコイン、「貨幣」に認定 法規制案を閣議決定:日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXLASGC04H01_U6A300C1MM0000/

 また、ビットコインなどの暗号通貨は96%の価値を2%程度のホルダーが握っているとされ、胴元が有利なクジラ(大口保有者)のビジネスとまで揶揄される事態になっています。

 もちろん、本当に仮想通貨(暗号通貨)がブロックチェーンという優れた技術によって構築された次世代の通貨なのだという見る向きも多くいます。ただ、個人的には金融業界の面々がチューリップバブルや南海泡沫事件といった、過去の「実体のないものを価値があるといってみんなで買って値上がりさせるバブル状態」を引き起こしてきた歴史的経緯を知っているので、どちらかというと醒めた目線になってしまうのもよく理解できるところです。

 いまから仮想通貨に参入して一獲千金を……と思うような迷いを持つ人も多いわけなんですが、個人的にはあまり仮想通貨取引はお薦めしません。まずはこの界隈がどういう世界なのかを知り、自分なりにどういう立場を採るべきなのか、よく考えてから投資を行うのは鉄則だろうと思います。

 本田圭佑やGACKTといった、分かりやすい有名人のアイコンが持ち出されるほど、慎重になるのが慎みある投資家の姿だと個人的には思うのですが。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

文・やまもといちろう

※慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数。

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