思っているより若かった?かぐや姫の育ての親「竹取の翁」は何歳なの?

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思っているより若かった?かぐや姫の育ての親「竹取の翁」は何歳なの?

かぐや姫のおじいさん、いったい何歳なの?

「かぐや姫」と言えば、古典文学の草分け的存在として知られる『竹取物語』のヒロインです。そのかぐや姫の育ての親となったのは、「竹取の翁」こと「さぬきの造(みやつこ)」でした。

「翁」とはおじいさんのことなので、私達は何の疑いもなくこの「竹取の翁」を「老人」だと思ってしまいがちです。子供向けの絵本などでも、翁は白髪のおじいさんに描かれていますよね?

翁の年齢の詳細についてはあまり語られることはありませんが、いったい彼は何歳なのでしょうか?

「50歳」と「70歳」、2種類の記述が!

実は『竹取物語』の本文中には、「竹取の翁」の年齢について記載されている箇所があります。まず前半部分の、成長したかぐや姫に求婚する男たちが翁の家の周りをうろつき始め、翁が姫に結婚を勧める場面で、翁はこう言っています。

「わしも七十をすぎました。命のほどは、今日明日ともしれぬ。気にかかるのは姫のこと・・・」
(出典:田辺聖子『竹取物語・伊勢物語』/集英社文庫)

ここでは翁は「70歳」ということになっています。

ところが後半になり、かぐや姫が月に帰らなければならないと知った竹取の翁が嘆き悲しんでいる事を聞き、帝が翁の家に使いを送るシーンがあります。そこには、このような記述があります。

「翁は年は五十ばかりであったが心痛のあまり、瞬時に老い込んだように見えた」
(出典:同上)

あらら、最初より20歳も若返ってしまっていますね。

翁の年齢が2種類ある理由は?

50歳と70歳、いったい翁の年齢はどちらなのでしょう?そしてなぜ、後半になって若返っているのでしょうか?その理由としては、いくつかの仮説が考えられます。

まず1つは、物語の進行の中で、いつの間にか設定に矛盾が生じてしまったというもの。

これと同じような事例は、『竹取物語』より後の時代に書かれた『源氏物語』でも見られます。主人公・源氏の恋人の1人である六条御息所の年齢設定に矛盾があることが、何人もの学者によって指摘されているのです。

また、竹の中から現れたときには手のひらに乗るくらい小さかったかぐや姫は、わずか3ヶ月で結婚できるくらいの年齢に成長しました。物語の最初の時点で50歳だった翁が、自分をその姫の見た目の年齢に合わせて「自分は20歳前後の娘の父親だから、もう70歳になった。だからお前の今後が心配だ」と言い、姫が将来のために結婚するよう説得したのだとも考えられています。

平安時代の「ご長寿」は何歳から?

ここで、『竹取物語』の舞台となっている平安時代の「ご長寿」が何歳なのかを見てみましょう。平安時代は現代より平均寿命が短かったため、長寿の祝いは40歳から行っていました。「初老」を『広辞苑(第6版)』で調べてみると、「40歳の異称」と確かに書いてあります。

当時の70歳といったら、相当なご長寿と考えて良いでしょう。竹取の翁は、野山に入って竹を採り、籠などを作って生計を立てていたとのこと。また5人の貴公子や帝とのやり取りを見ても、まだまだ現役世代であろうことが伺えます。

これらのことから、竹取の翁は70歳ではなく、50歳であったと思われます。かぐや姫のおじいさん、意外と若かったんですね!

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