自覚症状なしなので発見困難 “糖尿病からの膵臓がん”の脅威 (2/3ページ)
膵臓がんは、決して他人事ではないのです」
日本糖尿病学会によれば、糖尿病の患者数は推定1000万人で、予備軍を含めると2000万人にも上る。このうち糖尿病が疑われる人の4割がほとんど治療を受けていないと言われるだけに、対策の点でも大きな問題だ。
また、膵臓がんは早期発見が難しく、悪性度も高い。しかも、日本における発症率だけを見れば、胃がんや肺がんの方が上回るが、これらは定期的に検診を受ければ早期発見が比較的容易であり、適切な治療を受ければ生存率も高い。一方で、膵臓がんは初期症状が乏しい上に、厚生労働省の定めるがん検診にも含まれていないことが、早期発見をさらに難しくしているのだという。
「膵臓がんの早期発見が難しいと言われるのは、その一つの原因に症状が出にくいことがあります。もう一つは、膵臓が非常に小さい臓器で、腫瘍も2センチ未満であることと、お腹の奥深くにある後腹膜臓器であることが挙げられます」(同)
また、膵臓がんはまだ腫瘍が小さいうちから周囲に広がりやすく、最初から肝転移や肺に転移した状態で発見されることが多いのだ。
「そのことは、膵臓が他の内臓組織と複雑につながっていることが一因とされています。腕のいい医師が細心の注意を払って手術をしても、すべてのがん細胞を取り切ることは簡単ではない。術後も再発予防の目的で、抗がん剤治療や放射線療法が用いられるのは、そうした理由もある」(同)
東京労災病院放射線科の担当医は、次のように説明する。
「がんの転移は、血液の流れに乗って移動する血行性転移と、リンパ液に乗って移動するリンパ行性転移の二つがあります。膵臓の場合、臓器自体のサイズが小さいことと、周囲に太い血管が通っていることなどから、遠隔転移することの多いがんと言われます。特に、膵臓から出た血液が最初に向かう肝臓への転移が、最も多いと見られている。もちろん、隣接している胃への転移も少なくありませんが、逆に胃がんの膵臓への転移や、脳、骨などへの転移の危険性も高い。もし転移が見つかった場合は、がん細胞がすでに血液やリンパ液などから全身を巡っていると考えられます。