金正恩大号令! 平昌五輪閉幕と同時に朝鮮半島破滅シグナル再点灯

週刊実話

 2年前に脱北した元北朝鮮軍兵士の1人は、2015年に金正恩党委員長が全軍に対してこうメッセージを発したと証言している。
 《党が敵(韓国)と交流していようが、いかなる和平条約を締結することになろうが、軍は一切気にするな。軍の任務はただ戦うことのみ。祖国統一の偉業だ。戦闘命令を下せば、一気に韓国をやっつけられるよう準備を怠るな》

 正恩委員長が、父・金正日総書記から相続した秘密資金70億ドル(約7700億円)を使い切ってしまったと米政府系ラジオ『自由アジア』が報じた。この資金は朝鮮労働党の財政経理部『39号室』が管理しており、スーパーKと呼ばれる偽札製造や麻薬密売によって、年に5億〜10億ドル(約550億〜1100億円)を集めてきたとされるが、どちらも国際社会の厳しい監視下にあり動きが取れない。そこで目を付けたのが、韓国の青瓦台(大統領官邸)奥深くに眠る秘密資金だ。
 「故・金大中元大統領は1998年に大統領に就任すると、北朝鮮に対して緊張緩和を促す『太陽政策』を打ち出したのは有名です。そして'00年に故・金正日総書記との南北首脳会談を実現させ、ノーベル平和賞を受賞しました。ところが、後になって韓国財閥の現代グループを通じ、北朝鮮に4億〜5億ドル(約440億〜550億円)の秘密資金を渡していたことが明らかになったのです。正恩委員長も文在寅大統領に、この種のカネのニオいを嗅ぎ付けたのです」(北朝鮮ウオッチャー)

 そう見れば、平昌五輪への唐突な参加表明や南北交流に応じたのも合点がいく。タフネゴシエーターの玄松月団長から“微笑み”と“寸止め”で翻弄され、どんなに恥をかかされようが、国際社会よりも「従北」を優先する事を文在寅大統領は変えない。多少の計算の狂いはあるが、北はここを完全に見抜いたのだ。
 「若年層の有権者を中心に、女子アイスホッケー南北共同チームの問題などで激しい異論が沸き起こったのは文大統領にとっても計算違いだったでしょう。しかし、韓国の有権者にとって対北政策は最優先ではありません。朴槿恵前政権の悪行をあぶり出すことが先決です。そこで世論のガス抜きとして、朴氏を罷免に追い込んだ一因である『セウォル号沈没事件』当時の前海洋水産相と前次官の2人を逮捕したのです」(同)

 さらに、カトリック教徒の文大統領は、五輪開会式にバチカン代表団が参加すると発表し、国内信者の歓心を買った。
 「韓国大統領府によると、五輪には21カ国・機関から首脳級要人26人が訪韓します。日本の安倍晋三首相や国連のグテーレス事務総長らで、文大統領は14カ国・機関の首脳らとの会談を予定しています。全面的に五輪外交を展開し、支持率のさらなるアップを狙い、次の融和政策として自国憲法を『南北統一憲法』として改憲し、南北首脳会談を実現して一気呵成に統一朝鮮を実現させるつもりです」(国際ジャーナリスト)

 このように、表面的には「平和ムード」を漂わせているが、実態は韓国と北朝鮮による「米国追い出し五輪」だ。南北は米韓合同軍事演習の再延期、あるいは完全な廃止に向け、手を携えて動いている。ここがチャンスと北朝鮮は「演習を永遠にやめよ」とまで言い出した。
 しかし、米国はそんな裏切り韓国に“クンロク”を入れた。トランプ米大統領が1月30日に行った上下両院合同会議の一般教書演説で、北朝鮮の核・ミサイル開発を米本土への「脅威」と言い切り、一切譲歩しない考えを明らかにしたのだ。
 「しかも、駐韓米大使に内定していた穏健派の韓国系アメリカ人の就任を取り消しています。『従北』を鮮明にし、日米を裏切る文政権への“警告”です。すでに米国は、北朝鮮に軍事攻撃をする場合でも韓国と相談する気はありません。五輪後の『軍事オプション発動』というトランプ大統領の選択肢は不変であることが明らかになったのです」(安全保障アナリスト)

 マティス米国防長官も1月25日に「1953年以降、軍事オプションは残っており、今も存在している」と述べた。北朝鮮との対峙の状況に変化はないという意味だ。
 「安倍政権とも親交があるマイケル・グリーン米戦略国際問題研究所上級副所長も1月23日、『北朝鮮が五輪に参加することで対話ムードが広がっているが、核問題の解決につながるターニングポイントになる可能性は低い』とし、『春か夏には再び厳しい状況に戻るだろう』との見通しを内外の記者団に示しています。さらに、米韓合同演習については『中国とロシアは、北朝鮮が核・ミサイル開発を凍結する代わりに共同軍事演習を無期限延期することを提案しているが、北朝鮮が国連安保理決議に違反する行為を凍結する見返りに、米韓が抑止に必要な軍事演習を中止するのは、著しくバランスを欠く』とも発言しています」(同)

 北朝鮮が'16年に核実験2回と20数発のミサイル発射にかけた費用は200億円ほどで、これは国家予算のわずか0.6%前後にすぎない。経済制裁を受け、秘密資金が枯渇しても、220人いる党幹部にベンツなどの豪華プレゼントをカットすれば事足りる。
 平和の祭典である五輪の期間中も、正恩委員長の袖の下からは匕首がのぞき、トランプ大統領のスーツの下からは銃が向けられているのだ。

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