森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 株式バブル崩壊 (1/2ページ)
2月5日、6日の東京株式市場で大暴落が起きた。5日は前日比592円の下落、翌6日も前日比1071円の大幅安となったのだ。7日には少し値を戻したが、今後も下落のリスクは消えない。
この連載でも書いたように、私は昨年11月から“株価バブル”に警鐘を鳴らし続けてきた。ただ、私は株価バブル崩壊のタイミングを見誤っていた。崩壊は、あと半年くらい先だと思っていたのだ。
その理由は、バブル崩壊のきっかけだ。私が考えていたのは、都心不動産のバブル崩壊。都心のタワーマンションは、売り物が増えて、バブル崩壊寸前の状態にあるが、まだ暴落はしていない。今回の東京市場暴落のきっかけは、ニューヨーク株式市場の暴落だった。
米国の実体経済が悪化したわけではない。景気過熱とともに上昇した長期金利が、3%近くにまで達するなかで、資金が株式市場から債券市場に流れ出したのだ。
ただ、日米で、これだけの暴落が起きるということは、日米ともに投資家が株価の高所恐怖症にかかっていたことを意味する。
バフェット指数という株式指標がある。世界的に有名な投資家のウォーレン・バフェット氏が活用していると言われるこの指数は、株式の時価総額がGDPの何倍になっているのかという指数だ。
1月末の株式時価総額は710兆円、GDPは549兆円だから、バフェット指数は1.29倍だ。バフェット指数は“1倍”が正常と言われることから、日経平均は29%も割高だったことになる。
ちなみに、バフェット指数が1倍に戻るためには、日経平均が1万8000円まで下がらないといけない。バブル崩壊の場合は、しばしばオーバーシュートするから、日経平均が1万8000円を割り込むようなことがあれば、株式投資のチャンスになるだろう。
私は、安倍総理はつくづく運のよい人だと思う。今回の株価下落は、米国ではリーマンショック並みと呼ばれている。昨年の解散総選挙の際、安倍総理は、「消費税率は2019年10月から予定通り10%に引き上げる。ただし、リーマンショック並みの経済危機が訪れれば、話は別だ」と言った。つまり、今回の株価暴落は、安倍総理に消費税率の凍結、あるいは、引き下げのための絶好の口実を与えたということだ。