客離れしてからようやく改善を始めたドワンゴ「ニコニコ動画」の手遅れ|文◎やまもといちろう

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客離れしてからようやく改善を始めたドワンゴ「ニコニコ動画」の手遅れ|文◎やまもといちろう(写真はイメージです)
客離れしてからようやく改善を始めたドワンゴ「ニコニコ動画」の手遅れ|文◎やまもといちろう(写真はイメージです)

 もはやジャンル別の動画サービスや動画投稿アプリが横行する中、2ちゃんねる系オタク層の安定した支持にあぐらをかいて品質の低いサービスに甘んじてきたニコニコ動画が、人事の刷新を経てようやく最低限の改善を始めました。

■川上量生、ドワンゴ会長を退任 「数年遅かった」などの声

http://kai-you.net/article/48793

 ニコニコ動画を実質的に運営する川上量生さんがようやく陣頭指揮から離れてなぜかCTOとなり、いまごろになって機能改善として「ログインなしで視聴可能」というレベルになり、予定されていたアプリ対応や高画質でのライブ配信はさらに後回しになりました。もちろん、ログインいちいちしないと外部サイトに貼られたニコニコ動画のサイトを閲覧できないような劣悪なサービス環境がいままで続いていたことを思えば、少しは前進したとは言えるのですが、それでもオールジャンルな動画サービスとしてのYoutubeや、スマホ向け動画サービス、あるいあhSHOWROOMなどの特化したサービスには機能的に全く追いついていない状態が続いているのが現状です。

■ドワンゴ、「ニコニコ動画」の視聴がログイン不要に--新バージョン(く)は延期

https://japan.cnet.com/article/35115391/

■「ニコニコ動画」の低迷はサービス競争以前の、単なる体力負けなのではないか(山本一郎) - Y!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20171129-00078709/

 昨年11月の時点で、もはやドワンゴはGoogle他の動画サービス提供グループ企業に比べてこのあたりのサービス投入ができていない状態に甘んじなければならないほど、また特化したサービスで我慢してもらう前提でやらないといけないぐらい、資本負け、体力負けをしているのではないか、と感じていたのですが、そこから四半期が経過して、さらに「改善しようにも技術力が不足していて、その技術を確保できるだけの体力がない」という状態に陥っているのでは、と思われるぐらいの周回遅れの状況にあります。

 そもそも、動画を途中から観ることのできるシーク機能がいまだ課金必須であったり、評判の悪かったニコ割のような誰も得しない時報サービスがようやく廃止されたり、そもそものサービスの設計からして「誰もそこにニコニコ動画のオリジナル仕様を求めていない」ことは明確です。ユーザーの求めているものは、PCでもスマホでも高画質でライブもアーカイブも素直に観られ、最先端のコンテンツを他のユーザーと体験共有しながらすぐに手軽に観られるという「当たり前」となった動画サービスです。45歳の私ですら、アニメや映画の予告編はスマホで完結する現状で、より若い人を対象としていたはずのニコニコ動画が時代遅れのサービスで留まっている理由は良く分からなかったりします。

 一時期は、ニコニコ動画は日本国内のオンライン番組配給プラットフォームとして一角を占め、不動の地位を築いていたかと思いきや、サイバーエージェントグループのAbemaTVにあっという間に抜き去られ、各テレビ局の「ニコニコ動画離れ」が進んでHulu、FOD、NETFLIX、Amazon Video、DAZNその他の有料動画サイトが乱立すると優位性は完全に失われてしまいました。

■ドワンゴとカラー、新会社「バカー」設立 インディーゲームなど開発支援 - ITmedia NEWS http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1802/23/news072.html

 その後、残念ながらあまり話題にはなりませんでしたが、ドワンゴとアニメ制作のカラー社とでインディーゲーム支援のための会社が設立されました。本来であれば、本来は自前のブラウザベースのゲームプラットフォームであるニコニコアプリがあり、ゲームコンテンツを育成したり、ゲーム実況などのコンテンツ作りの場は持っていたはずです。しかしながら、自前の商流が仕上がらないまま、思い付きのように次々と類似のサービスを立ち上げては飽きて自滅していくさまは、明らかにユーザー離れを食い止められない経営陣の問題ではないかと感じる部分が大きくあります。

 結局、常連客がごっそり卒業し、離れ始めてから打つ手が失望されて、いまでは会員減少に歯止めがかからない残念なサービスの代名詞になりつつあります。できることを当たり前にやったうえで、さらに頭一つ上に出るために何をするのか頭をひねる状況にならない限り、現状の顧客すら大学進学や就職、結婚で離脱していくことになるでしょうし、もうこれ以上は放置できない環境に置かれた土壇場に近いのかなと思います。

■「ニコ動」有料会員、減少ペース加速 3カ月で14万人減 - ITmedia ビジネスオンライン http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1802/08/news107.html

 ひとりのユーザーとして、払っている金額に見合ったサービスが得られないのは観ていて残念ですし、まだ挽回できる状況もあるかもしれないので、どうにか回帰していっていただきたいと願う次第です。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

文・やまもといちろう

※慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数。

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