気品があってかわいかった!?昭和の「ゴムヘビ」
ようやく春めいてきました。3月6日は土の中の虫が動き出すという啓蟄(けいちつ)ですし、昨年の『ゲテモノ当て』に引き続き、ヘビのおもちゃをニョロッと紹介しましょう。
1960~1970年代、駄菓子屋には欠かせない存在だったイタズラグッズの定番『ゴムヘビ』。最もクラシックなゴムだけでできた昭和の純正ゴムヘビがこちらです。

全長10センチほどの羊羹(ようかん)のようにうっすらと透明感のある漆黒のボディー。鮮烈な黄色の蛇腹。そして、口からチョロッと出た2つに割れた舌先。黒、黄、赤色の見事な取り合わせです。
現在のカラフルに塗装された樹脂製のモノとは違い、着色したゴムを職人的手わざで焼き込んでいます。たこ焼きを作るときに、紅生姜やネギを入れながら焼いていく感じでしょうか。手間暇がかかっています。
ただし、昭和のゴムヘビはプラスチックを溶かす成分を含んでいるので、絶対に樹脂製品を近づけてはいけません。以前、テレビの上に置きっぱなしにして大きな穴を空けたことがあります。
そして、私が大好きなゴムヘビをもうひとつ。同じメーカーのものと思われる『カエル付ヘビ』です。何と、豪華箱入り。

全長約22センチとかなり大きめで、背中にカエルがちょこんと乗っている珍品ゴムヘビです。

ヘビはカエルにとって天敵のはず。それがなぜ背中に乗っているのか? 本来、気味悪がらせるためのゴムヘビなのに、こんなにかわいくしちゃう意図が分かりません(笑)。
ふたつのゴムヘビに共通しているのは、造形にあざとさがなく、S字ラインを描いたシンプルなフォルムは実に優美だということです。
製造元も分からないような駄玩具にすぎませんが、あえて言わせてもらえばこのゴムヘビたちには“気品”を感じてしまうんですよ。
そう、深夜にブランデーグラスを傾けながらじっくり眺めていたい、そんな芸術的香気です。
昭和のゴムヘビに乾杯!
(写真・文/おおこしたかのぶ)